腰痛の症例|毎回その場で動きが戻り、5〜6か月あいて次が来る5回の経過
| 患者 | 30代・女性/立ち座りと力仕事の多い仕事 |
|---|---|
| 主訴 | 前日に出た腰の痛み/慢性的な肩こり |
| 来院時 | 体を後ろに反らすと腰に痛みが出る状態/前に曲げる・ひねる動きでは出ない |
| 診断 | なし(医療機関は未受診) |
| 通院 | 約1年10か月で5回(初回のあとは5〜6か月間隔) |
| 施術 | うつ伏せで首・肩・背中・腰・股関節の前側/鍼と低周波鍼通電 |
| 現在 | 5〜6か月間隔での通院を継続 |
来院までの経緯
立ち座りと力仕事の多い仕事をされている方です。前日に腰を痛め、ぎっくり腰のような状態でご来院されました。1か月前にも同じように腰を痛めており、そのときは3日ほどコルセットを使っておられます。肩こりのほうは以前から続いているとのことでした。
医療機関は受診されていません。整体やマッサージを受けた経験はお持ちですが、鍼灸は初めてでした。
初回の所見と施術
動きを確かめたところ、体を後ろに反らしたときに腰の痛みが出て、前に曲げる動きとひねる動きでは出ませんでした。あわせて、股関節の前側を通る筋が左右とも硬く、伸びにくい状態でした。この筋は腰の骨から股関節の前へつながっているため、硬くなると反ったときに腰の側へ負担が集まります。触診では背中の張りが強く、皮膚も厚くなっているような感触がありました。
うつ伏せで首から後頭部、背中、腰に鍼をして、腰と首肩に低周波鍼通電を行いました。股関節の前側の筋には、太めの鍼を4本使っています。施術範囲が背中側にまとまっているため、現在のコース体系ではスタンダードコースが対象になります。
ひととおり終えたあとに、もう一度触診をして硬さの残っている部分に鍼をしました。硬さの残り方には個人差があるため必要な方にのみ行うものですが、この方の場合は初回に必要でした。最後に動きを確かめると、後ろに反らしたときの痛みは出なくなっていました。
その後の経過
2回目は約5か月後で、腰と肩に加えて足のむくみの訴えがありました。繁忙期で普段より忙しかったとのことです。うつ伏せで首、肩、腰、ふくらはぎに通電を行い、施術後に動きを確かめたところ、首を横に倒したときに引っかかる感じが残っていました。そこで座っていただき、その動きをしたまま残っている部位に鍼をしています。
3回目は約6か月後で、訴えは腰痛と肩こりでした。初回と同じように股関節の前側の筋にも鍼をして、肩には鍼を刺したまましばらく置いています。
4回目も約6か月後です。腰と左の首、足のむくみの訴えで、施術内容は前回と同じでした。この回は施術後の動作確認で引っかかる動きがなく、追加の鍼をしていません。
5回目も同じく約6か月後で、肩、腰、ふくらはぎの訴えでした。この回も動作確認で問題がなく、追加はしていません。現在も5〜6か月の間隔で通院されています。
施術者の考察
この方の通院は、5〜6か月に1度という形で落ち着いています。当院が間隔を指定したわけではなく、腰や肩がつらくなった時点でご来院いただき、その回で動きが戻る、という形が4回続いた結果です。
毎回、施術の後に動きを確かめて、必要があれば鍼をします。2回目は首を横に倒す動きに引っかかりが残っていたため、その姿勢のまま残っている部位に鍼をしました。4回目と5回目は引っかかりがなかったので、追加していません。
初回に股関節の前側の筋へ鍼をしたのは、後ろに反らす動きでだけ痛みが出ていたからです。前に曲げる動きとひねる動きで痛みが出ないということは、腰そのものより、反ったときに腰へ負担を集めている側を見たほうが早い。実際にこの筋は左右とも硬く、伸びにくい状態でした。
来院の間隔が空いていることは、状態が良いことの裏づけにも、悪いことの裏づけにもなりません。この方の場合は、来院時に腰や肩の訴えが出ていて、その回で戻っている、というだけです。腰痛で通われる方の間隔は、週1回から半年に1回まで幅があります。
この症例に関する注意
- 経過には個人差があります。同じ診断名でも、症状の出方や通院の回数・間隔は一人ひとり異なります。
- 手や足の力が入りにくい、感覚が鈍い、排尿や排便に異常があるといった症状がある場合は、施術より先に医療機関の受診をお願いしています。
- 個人が特定されないよう、経過の記述は抽象化しています。また、同様の経過を保証するものではありません。
腰痛に対する鍼灸の考え方は腰痛への鍼灸にまとめています。
