首こりの症例|医療機関で診断がつかなかった首の痛み・間隔が1か月まで開いた7回の経過
| 患者 | 40代・女性/デスクワークが中心の会社員 |
|---|---|
| 主訴 | 首の痛みと肩こり(初回の3週間ほど前から) |
| 来院時 | 首を動かすと痛む/上を向くと痛みが出る状態 |
| 診断 | 医療機関を受診したが確定診断には至らず |
| 通院 | 約5か月で7回(初期は2〜3週間隔/後半は1か月間隔) |
| 施術 | 首・肩・背中・腰/胸の左側・お尻・おなか側/鍼と低周波鍼通電・温熱 |
| 現在 | 最終来院から7か月以上、この症状での来院なし |
来院までの経緯
デスクワークが中心の会社員の方です。ご来院の3週間ほど前から首の痛みと肩こりが出て、首を動かしたときと、上を向いたときに痛みが出る状態でした。思い当たる原因としてデスクワークを挙げておられます。
医療機関を受診されていますが、確定診断には至らなかったとのことでした。鍼灸については3年ほど前まで定期的に受けておられ、そこから間が空いています。整体を受けた経験もお持ちです。
初回の所見と施術
触診では首から肩、背中、腰にかけて硬さがあり、腕のこりも強い状態でした。あわせて足の冷えがあり、自律神経の状態にも乱れがみられたため、この回は首と肩への施術だけでなく、おなか側まで含めた基本調整を組み込んでいます。
仰向けで手足と首の側面に鍼をして、腕に低周波鍼通電を行いました。うつ伏せでは首、肩、背中、腰に鍼を刺したまましばらく置き、首・肩・腰に通電しています。施術範囲が仰向けとうつ伏せの両方にまたがるため、現在のコース体系ではダブルコースが対象になります。
ひととおり終えたあとに、もう一度触診をして、硬さの残っている部分に鍼をしています。硬さの残り方には個人差があるため必要な方にのみ行うものですが、この方の場合は初回から最終回まで、ほぼ全ての回で必要でした。
その後の経過
2回目は2週間後で、訴えは首と肩のこりでした。この回はうつ伏せのみで、首・肩・背中・腰への通電に時間を長くとっています。
3回目では、首と肩に加えて頭の片側の痛みと、胸の左側のつらさが訴えに入りました。仰向けで首の側面と胸の筋に通電を行い、うつ伏せでは背中に温熱を併用しています。首こりの訴えで来られた方でも、経過のなかで胸の前側が出てくることは珍しくありません。
4回目はその1か月後で、この頃には施術後の状態が1か月ほど持つようになった、とご本人が話されました。触診では首の硬さに加えて腰の左側とお尻に硬結と圧痛があったため、お尻にも鍼と通電を行っています。足裏の冷えが続いていたため、温める機器も加えました。
5回目では首の訴えが強く出ました。この回は首の骨のわきに長い鍼を使い、刺さる長さを大きくとって刺激を加えています。施術後は首がはっきり緩んでいました。同じ回に頭痛とめまいの訴えもありましたが、以後は出ていません。
6回目は首・肩・腰に加えて、胃の調子の悪さと吐き気の訴えがありました。仰向けで足の特定の部位に反応があり、胃の側を整える目的でそこに通電を行っています。
7回目の訴えは、首の右側と頭の片側の痛み、そして右の股関節あたりの痛みでした。5回目に長い鍼での刺激がよく効いていたため、この回も同じ方法を選んでいます。この回を最後に、7か月以上、この症状でのご来院はありません。
施術者の考察
この方の通院間隔は、当院が決めたものではありません。初期は2〜3週間隔でしたが、4回目に「1か月ほど持つようになった」とご本人が話され、そこから実際に1か月間隔に落ち着いています。持ちの実感が先にあって、間隔がそれに合わせて開いた形です。
訴えの範囲は回ごとに動きました。胸の左側、お尻、胃の調子、股関節と、首から離れた場所が入れ替わりで出ています。主訴は最初から最後まで首と肩でしたが、その日にどこへ施術するかは訴えと触診の両方で決めており、首だけを毎回同じように施術していたわけではありません。
5回目に首の骨のわきへ長い鍼を使った回は、施術後の緩み方がそれまでと違いました。なので7回目にも同じ方法を選んでいます。手技の選び方は、教科書どおりの適応で決まるというより、その方に対して実際にどう出たかで決まる部分が大きいと考えています。
施術の最後にもう一度触診をして硬さの残りに鍼をする、という締め方がこの方ではほぼ毎回必要でした。鍼と通電を加えたあとの体は、施術前とは硬さの分布が変わっています。最初に取った所見だけで組み立てを終えると、その変化のあとに残ったものを拾えません。
この症例に関する注意
- 経過には個人差があります。同じ診断名でも、症状の出方や通院の回数・間隔は一人ひとり異なります。
- 手のしびれや力の入りにくさをともなう場合、これまでに経験のない強い頭痛や吐き気がある場合は、施術より先に医療機関の受診をお願いしています。
- 個人が特定されないよう、経過の記述は抽象化しています。また、同様の経過を保証するものではありません。
