腰痛の症例|首こりも併発し、訴えの中心が移り変わった約1年10か月の経過

患者40代・男性/パソコン作業が中心の自営業
主訴腰痛と首肩のこり(いずれも慢性)
来院時座っての作業が長く、腰と首肩のこりが続いている状態
診断頸椎椎間板ヘルニア(C6の左側)/腰椎椎間板の損傷(4番と5番のあたり・手術を要するほどではないとの説明)
通院約1年10か月で21回(開始時は2〜4週間隔/途中に5か月の中断/現在は月1〜2回)
施術腰・お尻の上部・首の付け根・肩甲骨まわりを中心に、鍼と低周波鍼通電
現在月1〜2回の間隔で通院を継続
目次

来院までの経緯

パソコンでの作業が中心の自営業の方です。座っている時間が長く、腰痛と首肩のこりが以前から続いていました。ご本人も、思い当たる原因として長時間の座り姿勢を挙げられていました。

ご来院の1年ほど前に左手の親指に症状が出たことがあり、医療機関で頸椎椎間板ヘルニア(C6の左側)と診断されています。ただしこの症状は、当院にお越しになった時点ではおさまっていました。腰については、腰椎の4番と5番のあたりの椎間板の損傷と言われ、手術を要するほどではないとの説明を受けていました。

当院の前には整体やマッサージに通われており、鍼灸も半年ほど前に受けた経験がありました。初回は、腰痛と首肩のこりの両方を訴えてのご来院です。

初回の所見と施術

触診では、腰からお尻の上部、そして首の付け根から肩甲骨まわりにかけて硬さが確認できました。腰と首肩の両方に訴えがあり、手足まで含めて施術する必要があったため、施術範囲は仰向けとうつ伏せの両方にまたがります。現在のコース体系では、ダブルコースが対象になります。

仰向けで手足に鍼をして、鍼に低い周波数の電気を流す方法(低周波鍼通電)を行いました。続いてうつ伏せになっていただき、首の付け根、背中の中ほど、腰、お尻の上部に鍼をして、同じく通電を行っています。

その後の経過

2週間後の2回目では、腰と首に加えて前腕のこりを訴えられました。仰向けの施術に前腕への通電を足し、うつ伏せは前回と同じ組み立てにしています。

初回から1か月半ほどの回では、腰に加えてこめかみのあたりの頭痛がありました。この回はあごの周りと側頭部にも鍼通電を追加しています。頭痛の訴えはこの回だけで、以降は出ていません。

その後は腰を主な訴えとして、3〜6週間隔での通院が続きました。施術の組み立てはほぼ変えていません。初回から10か月ほど経った回で訴えの中心が首側に移り、この回から背中を温める機器を併用しています。次の回では、腰に通常より長い鍼(中国鍼)を用いました。

この後、約5か月間、来院が途切れています。再開後は、うつ伏せでの施術と背中の温熱を中心に組み直しました。この時期から施術範囲が背中側を中心にまとまり、現在のコース体系ではスタンダードコースが対象になります。

初回から1年半ほどの回では、動いたときに出る痛みに対して、痛みが出る動作をしてもらいながら鍼をする方法をとりました。腰についても、座った姿勢で体をひねる動作をしていただきながら刺鍼した回があります。

直近は腰とお尻のあたりを中心とした施術で、月1〜2回の間隔で通院を継続されています。首肩のこりは毎回ありますが、訴えとしては腰のほうが強い状態が続いています。

施術者の考察

腰と首の両方に慢性的な訴えがあり、どちらが強く出るかが回ごとに入れ替わる経過でした。施術する部位をあらかじめ決めておくことができず、毎回の触診で決めています。頭痛や前腕のこりのように、1回だけ対応して以降は出てこなかった訴えもありました。

頸椎椎間板ヘルニアと腰椎椎間板の損傷という診断がありますが、鍼灸の対象になるのは痛みやこりの軽減であって、画像で指摘された変化そのものを戻すものではありません。この方の場合、来院時点で手のしびれは出ておらず、施術の対象は一貫して腰と首肩のこり・痛みでした。

電気を用いた施術は全期間を通じて使えました。過敏さのある方には用いませんが、この方は初回から抵抗なく受けられています。5か月の中断をはさんでも同じ枠組みで再開でき、2年近く月1〜2回の間隔で続いている点は、症状をなくすための通院というより、仕事を続けながら状態を保つための通院として機能していると考えています。

この症例に関する注意

  • 経過には個人差があります。同じ診断名でも、症状の出方や通院の回数・間隔は一人ひとり異なります。
  • 手や足の力が入りにくい、感覚が鈍い、排尿や排便に異常があるといった症状がある場合は、施術より先に医療機関の受診をお願いしています。
  • 個人が特定されないよう、経過の記述は抽象化しています。また、同様の経過を保証するものではありません。

腰痛に対する鍼灸の考え方は腰痛への鍼灸にまとめています。

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この記事を書いた人

佐藤長快のアバター 佐藤長快 鍼灸師

吉祥寺メックス鍼灸院で鍼灸専門の施術を行っています。
18歳の頃に鍼灸を初めて受け、その効果を実感し、その後鍼灸の道へ。以来さまざまな流派・技法の施術を受け続け、これまでに100名以上の施術者の鍼を経験してきた鍼灸愛好家でもあります。

国家資格:はり師・きゅう師(鍼灸師)
東京医療専門学校 鍼灸専科 卒業
上海中医薬大学 短期留学 推拿コース/解剖コース 修了
公益社団法人 全日本鍼灸学会 正会員
認定NPO法人 健康医療評価研究機構(iHope International)臨床研究オンライン学習プログラム 修了

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