首こりの症例|施術の中心が首の後ろから胸の前側・首の前側へ移った約2年4か月の経過
| 患者 | 30代・女性/画面に向かう時間の長い会社員 |
|---|---|
| 主訴 | 数年来の首肩のこり/後頭部の痛み |
| 来院時 | 他院で鍼灸を続けていたが、施術内容に納得できず来院 |
| 診断 | ストレートネックの指摘あり |
| 通院 | 約2年4か月で19回(開始時は3〜4週間隔/現在は1〜2か月間隔) |
| 施術 | 首の付け根・肩甲骨まわり・背中に加え、鎖骨の下から胸の前側、のちに首の前側/鍼と低周波鍼通電 |
| 現在 | 1〜2か月間隔で通院を継続 |
来院までの経緯
画面に向かう時間の長い会社員の方です。数年前から首肩のこりと後頭部の痛みがあり、思い当たる原因としてデスクワークを挙げられていました。医療機関ではストレートネックを指摘されています。
ご来院までは、他院で月2回ほどのペースで鍼灸を続けられていました。ただ、毎回担当する施術者が変わることと、回を追うごとに施術が簡略になっていくように感じられたそうです。鍼の本数についても、あまり打ってもらえなかったという印象を持たれていました。
初回の所見と施術
姿勢は、肩が前に入り、背中が丸まり、首のカーブが浅い状態でした。触診では首の付け根から肩甲骨まわりの硬さに加えて、お尻から太ももの外側にかけて強い硬結がありました。この回の訴えには、首肩と後頭部のほかに左のすねの外側も含まれています。
うつ伏せで首の周り、腰、お尻の上部に鍼をして、首肩と腰に低い周波数の電気を流しました(低周波鍼通電)。最後に座っていただき、首を回してもらいながら動きと反応を確認し、その場で鍼を追加しています。この回は施術の中心が背中側にまとまっていたため、現在のコース体系ではスタンダードコースが対象になります。
その後の経過
3週間後の2回目では、首肩に加えて鎖骨のあたりのこり、二の腕の張り、呼吸が浅く感じるという訴えが出ました。仰向けでも手足に鍼をして通電を加えたため、施術範囲が仰向けとうつ伏せの両方にまたがります。現在のコース体系ではダブルコースが対象になります。首の左側面にも硬さがあり、そこにも通電を行いました。
3回目では、鎖骨から胸にかけての範囲がつらいとのことで、胸の筋肉への通電を始めています。ここから施術の組み立てが、背中側(首・肩・背中・お尻・ふくらはぎ)と、おなか側(鎖骨の下・胸の前側・前腕)の両方を毎回組み合わせる形に定まりました。
4回目には、胸の筋肉をしっかり施術してもらえるようになって楽になった、という感想をいただいています。同時に、仕事の状況によっては1か月に1回ほど受けないと肩まわりがつらくなる、という実感も話されました。この時点で通院のペースがご本人のなかで決まっています。
初回から半年ほど経った回では、胸の筋肉に鍼をした際に筋がピクッと動く反応が確認でき、触診での硬さとも一致していました。訴えとしても、肩甲骨の内側から背中、鎖骨の下、胸の前側という範囲が繰り返し挙がるようになります。
初回から1年ほど経った回で、いちばん気になる場所が首の前側に移りました。首すじの前を通る筋肉や顎の下にも置鍼と通電を行っています。以後は、首の後ろ・肩・背中・胸の前側・首の前側を軸に、その日の触診で組み立てる形が続いています。長時間の移動があった後の回では、首の硬さがはっきり強くなっていました。
経過の後半では、顔のこわばりや、ほうれい線・顎・頬が気になるという訴えが加わり、美容鍼を併用するようになりました。首の前側から顎にかけての施術と範囲が重なるため、同じ回のなかで続けて行っています。現在は1〜2か月間隔で通院を継続されています。
施術者の考察
首こりという訴えでしたが、施術の中心は首の後ろではなく、鎖骨の下から胸の前側、さらに首の前側へと移っていきました。肩が前に入って胸の前側が縮んだ状態が続くと、首の前側が引かれ、後ろ側は張り続けることになります。触診をせずに訴えの場所だけで組み立てていたら、首の後ろばかりを施術し続けていたと思います。
初回の訴えにあった後頭部の痛みと左のすねの外側は、2回目以降は出ていません。当院では主訴の部位だけでなく基本調整も行っているため、そちらが影響した可能性はあります。
通院のペースは、ご本人が仕事の量から判断されています。「この時期は1か月に1回受けないとつらくなる」という感覚が4回目の時点で言語化され、以後はそれに沿って間隔が決まってきました。2年以上続いていますが、症状をなくすための通院ではなく、仕事を続けながら状態を保つための通院として機能していると考えています。
この症例に関する注意
- 経過には個人差があります。同じ診断名でも、症状の出方や通院の回数・間隔は一人ひとり異なります。
- 手のしびれや力の入りにくさをともなう場合、これまでに経験のない強い頭痛や吐き気がある場合は、施術より先に医療機関の受診をお願いしています。
- 個人が特定されないよう、経過の記述は抽象化しています。また、同様の経過を保証するものではありません。
