「鍼灸は胃痛や不快感に効果ある?」
「機能性ディスペプシアは鍼灸で改善する?」
こんにちは!吉祥寺メックス鍼灸院の佐藤です。
機能性ディスペプシアなどの検査をしても原因のない胃の不調は鍼灸治療で改善が期待できます。
近年では「機能性消化管疾患診療ガイドライン2021」にも鍼灸治療の項目が盛り込まれるようにもなりました。
- 機能性ディスペプシアは鍼灸で改善が期待できる
- 鍼灸は自律神経系を介して胃の機能を正常化する
- 薬よりも効果があったという研究報告が複数ある
「機能性ディスペプシア」は
鍼灸で症状を緩和することが期待できます
機能性ディスペプシアの原因のひとつは「自律神経の乱れ」と言われています。
鍼灸には自律神経のバランスを整える作用があり、効果が期待できます。
このような症状でお困りではないですか?
このような症状がある方は一度鍼灸治療を試してみることをオススメします。
ピロリ菌感染がある場合にはピロリ菌の除菌により症状が軽快することがあります。まずは消化器内科で検査・診断を受けることが重要です。
目次
機能性ディスペプシア
機能性ディスペプシアは胃痛や胃の不快感などの症状があっても、検査で症状の原因となる病気が見つかりません。
全人口の10%ほどは機能性ディスペプシアがあるとも考えられており、日本人の10人に1人は機能性ディスペプシアと推測されています。
主な症状
機能性ディスペプシアでは様々な症状が出ます。
- 慢性的な胃痛、胃もたれ
- すぐにお腹が一杯になる
- 食事をした後に胃が重苦しく、もたれる
- みぞおちのあたりの痛み(心窩部痛)
- 胸焼け
- 吐き気・ゲップがよく出る
原因は「自律神経の乱れ」
胃の働きは自律神経に制御されています。
機能性ディスペプシアはストレスによって自律神経が乱れることで胃の働きの異常が起こると考えられています。
また、その他には以下のような状態も自律神経を乱すことから、機能性ディスペプシアの原因となります。
・食生活の乱れ
・喫煙
・過労
機能性ディスペプシアに対する鍼灸の効果
以下は、日本消化器病学会「機能性消化管疾患診療ガイドライン 2021―機能性ディスペプシア(FD)(改訂第 2 版)」からの引用です。(※の注釈は引用ではなく追記です)
・薬物治療(モサプリド,シサプリド,ドンペリドン,中医薬など)との比較を行った 11 件のRCT*によるメタアナリシス* は,有意に鍼治療は効果を示した.
※ RCT(Randomized Controlled trial):ランダム化比較試験。治療法などの効果を検証するための研究手法。
※ メタアナリシス:類似する複数の研究結果を統合してその治療法が有効であるかを統計学的に検討する手法。
・ドンペリドンとの効果を比較した 6 件のRCTの結果では,有意に鍼治療が治療効果を示した.
・ネットワークメタアナリシスによる検討では,薬物治療(ドンペリドン,イソ プリド,モサプリド)との比較を行い,いずれも鍼治療は効果を示した.
・200 人以上の多数例を対象としたRCT研究が2020年に報告され,sham治療*と比較し,鍼治療がPDS症状*の改善に有効であった.
※ sham治療:偽の治療。鍼治療の効果を測定するために比較対象群に偽の治療を行います。
※ PDS症状:食後のもたれ感・早期飽満感などの食後愁訴症候群
このように、鍼灸治療は機能性ディスペプシアの治療薬と比較しても有意に効果を示しています。
鍼灸治療を受けた人のほうが日頃の生活の質(QOL)が高まったというわけです。
鍼灸治療の効果持続
研究により様々ですが、人によって1ヶ月~3ヶ月良い状態が持続するようです。
これらの臨床研究では鍼灸治療を「週に2回を4週間(合計で8回)」行っていたり、「週に3~4回を1ヶ月間」などある程度一定期間鍼治療を受けています。
ご自身の状態にもよりますが、症状が完全に寛解するまでは定期的に鍼灸治療を受けるほうがQOL(生活の質)が高い状態を維持できるかと思います。当院の場合には症状がひどい時には週に1回を目安で受けていただくことをオススメしております。
機能性ディスペプシアに鍼灸が効く理由
機能性ディスペプシアの原因のひとつは自律神経が乱れることです。
鍼灸治療は自律神経のバランスを整える作用があります。
鍼灸治療を受けることで以下のような効果が期待できます。
・胃の不快感や痛みの軽減
胃の機能が正常化される
(画像:内田ら. 鍼刺激が上部・下部消化管に及ぼす影響. 全日本鍼灸学会雑誌. 2017 年 67 巻 2 号 p. 83 )
機能性ディスペプシアとなっている人の胃は消化管のペースメーカー細胞が正常に働いていないと考えられます。
腹部への鍼刺激はそれらに作用して、正常な蠕動リズムに戻すと推察されています。
胃の痛み・不快感が軽減される
(画像:内田ら. 鍼刺激が上部・下部消化管に及ぼす影響. 全日本鍼灸学会雑誌. 2017 年 67 巻 2 号 p. 83 )
機能性ディスペプシアとなっている人では胃の知覚が過敏になっています。
少しの食事量でも胃の内圧が高まり、早期飽満感や胃痛・胃の不快感が現れます。
鍼刺激が過敏になっている神経を抑制し、胃の内圧が低下します。それにより胃痛や不快感の増悪が軽減すると考えられています。
機能性ディスペプシアの鍼灸治療
特効穴治療
鍼灸では古くからその症状に対してよく効くツボ(特効穴)というものがあります。
胃の症状に対して使われる特効穴は足三里・中脘(胃の募穴)・胃兪(胃の背部兪穴)などのツボです。
これらのツボに鍼刺激を行うと実際に胃の活動に変化が起きることが研究でわかっています。
自律神経を整える治療
特効穴などと合わせて、全身の基本的な調整を当院では行っています。
全身の凝っているところや治療点となるツボに対して鍼をすることで、自律神経のバランスを整えます。
鍼灸治療は中庸作用といって「体自身をより良い方向へ向かわせる」作用があります。
鍼灸治療は過剰に緊張している状態の体をリラックスさせ、胃の状態も整えます。
まとめ
鍼灸治療によって以下の効果が期待できます。
・胃の不快感や痛みの緩和
・QOLの向上
当院では「自律神経のバランスを整える全身治療」と「胃の症状によく効く特効穴を使った局所治療」を行い、1回の治療で最大限の効果を出せるように施術しております。
臨床研究の結果でも薬よりも効果があったとの報告がありますが、当院でも実際に「薬よりも効きました!」とご感想をいただいております。
機能性ディスペプシアでお困りの方はぜひ一度鍼灸治療を試してみてください。