緊張型頭痛の症例|頭痛が消えたあとに他の部位のこりが分かるようになった3回の経過
| 患者 | 40代・女性/パソコン作業が中心の座り仕事 |
|---|---|
| 主訴 | 慢性的な首こりからくる頭痛/全身のだるさ |
| 来院時 | 首こりは慢性的/最近になって強まり、頭痛が出るようになった |
| 診断 | 医療機関の受診なし |
| 通院 | 約8か月で3回(初回→2週間半→約7か月半) |
| 施術 | 仰向け・うつ伏せの両方/手足への低周波鍼通電と、首・肩・背中・腰への鍼通電 |
| 現在 | 3回目以降の来院なし |
来院までの経緯
パソコン作業が中心の、座り仕事をされている方です。
首のこりは以前から慢性的にありました。それが最近になって強まり、頭痛が出るようになったことが来院のきっかけです。あわせて、全身のだるさも訴えられていました。
整体やマッサージを受けた経験があり、鍼灸は1年ほど前に1回だけ受けたことがあるとのことでした。
初回の所見と施術
肩から背中、腰にかけてのこりがかなり強い状態でした。硬くなった筋肉に鍼が届くと、その筋肉が一瞬ピクッと縮む反応が出ます。この方は、この反応が体のあちこちでかなり多く出ました。硬くなっている部分がそれだけ多いということであり、狙ったところに鍼が届いている確認にもなります。
一方で、鍼の感覚そのものは全体に鈍い方でした。体の側の反応は大きいのに、ご本人の自覚がそれに追いついていません。こりが長く続くと、その状態が当たり前になって感じ取りにくくなることがあります。ご本人が「慢性的な首こり」と表現されていた実態は、こりが強いこととそれを感じにくくなっていることの両方だと見ています。
仰向けでは、手足のツボに鍼をして、低い頻度の電気を10分間流しました(低周波鍼通電)。うつ伏せでは、首・肩・腰の硬くなっている部分を狙って鍼をして、同じく低い頻度の電気を15分間流しています。施術のあと、頭痛は感じられなくなっていました。
集中して施術するのは背中側のため、現在のコース体系ではスタンダードコースが対象になります。
その後の経過
2回目は2週間半後です。頭痛の訴えはなくなっていました。代わりに、いちばんつらいところとして挙げられたのは、背中や腰の痛みと足のだるさです。首のこりと頭痛がなくなった分、ほかの場所のこりや痛みが分かるようになって、そのほうがつらい、という話でした。
この回は、訴えの出ている範囲に合わせて施術の範囲を広げています。仰向けで手足に鍼をして電気を流したあと、うつ伏せで首・肩甲骨まわり・背中・腰に加え、お尻とふくらはぎにも鍼をして電気を流しました。
3回目は、そこから約7か月半後でした。頭痛の訴えはまったくありません。この回の訴えは、疲れが取れないことと足のだるさです。施術は前回とほぼ同じ組み立てで、施術後の感じもよいとのことでした。
以降、来院はありません。
施術者の考察
頭痛は早い段階で訴えから外れ、2回目以降は一度も出ていません。この方の場合、頭痛そのものより、その手前にある首肩から背中・腰にかけてのこりの量が問題でした。そこを落としたことで、頭痛は訴えの対象でなくなっています。
特徴的だったのは感覚の鈍さです。筋肉の反応は強く出るのに、ご本人の自覚はそれに見合っていませんでした。2回目に「ほかの場所のこりや痛みが分かるようになって、そのほうがつらい」と話されたのは、その裏返しにあたります。楽になった結果として新しくつらさが増えたように見えますが、もともとあったものが感じ取れる状態に戻った、というのが実際のところです。この段階で施術範囲をお尻や下肢まで広げています。
通院は約8か月で3回、以降は来院がありません。もともと、よほどつらくならなければ来院されない方です。頭痛のために来られて、頭痛が出なくなり、次に来られたのは半年以上あとでした。こうした通い方でご本人の困りごとが片づくのであれば、それ以上の通院を組む理由はありません。
この症例に関する注意
- 経過には個人差があります。同じ診断名でも、症状の出方や通院の回数・間隔は一人ひとり異なります。
- これまでと違う強さや出方の頭痛があるときは、鍼灸より先に、脳神経内科など医療機関での検査をお願いしています。
- ご本人が特定されないよう内容を抽象化しています。同じ経過をお約束するものではありません。
