喉のつまり感の症例|胃カメラで異常なし・外食の場面で強く出た1年3か月の経過

患者40代・女性/夜勤のある仕事
主訴食べること・飲むことがしづらい/喉のつまり感
来院時発症から約11か月/外での食事の場面で強く出る
診断胃カメラで異常なし/心療内科・脳神経内科でも診断名はつかず
通院約1年3か月で16回(週1回×4回→2週間→1〜2か月間隔へ)
施術仰向け・うつ伏せの両面/手足・おなか・喉もと・首・肩・背中・腰への鍼と低周波鍼通電/お灸
現在症状の様子に合わせた1〜2か月間隔の来院を継続中
目次

来院までの経緯

夜勤のある仕事をされている方です。勤務の時間帯が変わるため、生活のリズムは不規則になりがちでした。

来院の約11か月前から、食べること・飲むことがしづらい状態が続いていました。特に外で食事をするときに強く出て、吐き気を伴うこともあります。胃カメラでは異常なし。心療内科や脳神経内科にもかかりましたが、診断名はつきませんでした。

それまでは2週間に1回、整体に通われていました。そこでは「胃の裏側、背中がとても硬い」と言われ続けていたそうです。その背中の硬さへの対応を整体から鍼灸に切り替える形で、当院に来院されました。

初回の所見と施術

触れて確かめると、首と背中のこりが非常に強い状態でした。ところが、ご本人にはこりの自覚がほとんどありません。

仰向けでは、手足のツボに鍼をして、低い頻度で10分間電気を流しました(低周波鍼通電)。自律神経の調整を目的とした、当院の基本の組み立てです。おなかにも鍼をしています。喉のつまり感に対しては、喉もとや首の横にも鍼をして、刺したまましばらく置きました。うつ伏せでは、首・肩・背中・腰に鍼をして5分間電気を流し、お灸も行っています。

施術範囲がおなか側と背中側の両方にまたがるため、現在のコース体系ではダブルコースが対象になります。

その後の経過

2回目(1週間後)には、全体として症状がやわらいでいる感じがあるとのことでした。この回は、背中のこりが強く、いきなり鍼をすると刺激が強く感じられそうなので、先にお灸を8か所行ってから鍼をしています。

3回目には「かなり調子がよい」という言葉が出ています。このあたりから、鍼の感じ方が以前よりはっきりしてきました。首については、こりの感じが少なくなってきたという自覚が出て、眠りも深くなったとのことでした。

4回目は症状に少し波がありました。前回の施術の3日後に、背中と肩が痛く感じられたそうです。初回にはこりとして自覚されていなかった場所です。感覚が戻ってくると、それまで感じ取れていなかった硬さを痛みとして知覚するようになることがあります。夜勤のある時期に体調が崩れやすいという実感も、この頃から話されるようになりました。

その後は2週間、1〜1.5か月と間隔を空けながらの通院になりました。この間、症状には波があります。胃のあたりから喉にかけて違和感が出た時期、飲み込みづらさが強まった時期、手足や顔のしびれ感・めまい・動悸が出た時期もありました。「自分の好きな店で食事をしても、喉のつまり感があってあまり楽しめなかった」という日もあります。一方でご本人からは「体のこりの感じと比例して、自律神経の症状も出るように感じる」という言葉が出ています。

初診から4か月ほどで、いちばん強い訴えは首肩のこりに移り、喉のつまり感があまり出ない時期も出てきました。この頃から、施術範囲に頭を加えています。冬にかけて症状は落ち着き、自律神経の症状はあまり出なくなりました。ここからは、症状が強まったときと、ご本人が体を整えたいと感じたときに来院される形に変わり、いちばん長いところで約2か月、以降は1〜2か月の間隔になっています。

この間も、右腕のこり、右目まわりのつらさなど、その時々の訴えに合わせて鍼の場所を調整しながら続けています。初診から1年ほど経った頃にも、「なんとなくスッキリしない感じがする」「食べるときに苦しい感じが出る」という波はありました。直近の回では、少し食べづらさがあり、頭の右上のあたりがこって感じるとのことで、その部位への鍼通電を加えました。

施術者の考察

この方の経過でいちばん特徴的なのは、こりの感覚の変化です。初回、触れると首や背中は非常に硬いのに、ご本人にはこりの自覚がありませんでした。回を重ねるうちに鍼の感じ方がはっきりしてきて、働いている最中に、自分でこりを自覚できるようになっています。4回目に施術の3日後の痛みとして背中と肩を感じ取ったのも、この流れの中の出来事です。自分の体の状態を感じ取れることは、来院のタイミングを自分で判断する手がかりになります。現在の、症状が強まる前に体を整えに来られるという通院の形は、この変化の上に成り立っています。

もうひとつは、こりと自律神経症状の連動です。ご本人自身が「体のこりの感じと比例して自律神経の症状も出る」と話されているとおり、首肩や背中のこりが強い時期に、喉のつまり感やめまい・動悸などが重なる傾向がありました。施術は一貫して、首・肩・背中のこりへの施術と、手足への低い頻度の鍼通電による自律神経の調整を組み合わせています。

喉のつまり感そのものは、1年3か月が経った現在も完全には消えていません。直近の回にも、少し食べづらさがあります。ただ、訴えの中心は「食べること・飲むことがしづらい」から「少し食べづらさがある」程度へと変わり、症状の様子に合わせた1〜2か月間隔の来院で保てる状態になっています。

この症例に関する注意

  • 経過には個人差があります。同じ診断名でも、症状の出方や通院の回数・間隔は一人ひとり異なります。
  • 飲み込みにくさや喉のつまり感が続く場合は、鍼灸より先に、内科や耳鼻咽喉科など医療機関での検査をお願いしています。
  • ご本人が特定されないよう内容を抽象化しています。同じ経過をお約束するものではありません。
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この記事を書いた人

佐藤長快のアバター 佐藤長快 鍼灸師

吉祥寺メックス鍼灸院で鍼灸専門の施術を行っています。
18歳の頃に鍼灸を初めて受け、その効果を実感し、その後鍼灸の道へ。以来さまざまな流派・技法の施術を受け続け、これまでに100名以上の施術者の鍼を経験してきた鍼灸愛好家でもあります。

国家資格:はり師・きゅう師(鍼灸師)
東京医療専門学校 鍼灸専科 卒業
上海中医薬大学 短期留学 推拿コース/解剖コース 修了
公益社団法人 全日本鍼灸学会 正会員
認定NPO法人 健康医療評価研究機構(iHope International)臨床研究オンライン学習プログラム 修了

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