「鍼灸で逆子が治るってホント?」
「逆子の鍼灸を受け始める時期は?」
「鍼灸を受けるリスクはある?」
こんにちは!吉祥寺メックス鍼灸院の佐藤です。
鍼灸治療で逆子ちゃんがひっくり返るのか、気になりますよね。
この記事では「逆子の鍼灸治療」について解説していきます。
- 鍼灸で逆子を矯正することができる
- できるだけ早く鍼灸を始めたほうが矯正されやすい
- 重大な副作用はなく、安全
目次
鍼灸で逆子は治る?
研究論文により介入方法や母集団がちがうので矯正率は様々です。
低いものでは矯正率60%代の報告があり、高いものでは矯正率90%代の報告もあるのが現状です。
これは症例集積されているのが病院などの重症な方が多く集まる場所か、鍼灸院などの比較的母体の健康状態が良い方が集まる場所であるのかという違いによるものであると思われます。
矯正率に関わる要因
当たり前ですが、母体の状況や赤ちゃんの状況など一つとして同じものはありません。
とくに矯正率に関わる要因としては以下のようなものが考えられます。
・母体の状態
分娩歴による違い
また、分娩歴によって逆子の矯正率は変わると言われています。
初産婦よりも経産婦のほうが矯正率は高いと報告されています。
母体の状態
以下のような場合には通常よりも矯正率が下がると考えられます。
・子宮筋腫がある
・胎盤異常
・切迫早産で入院中
逆子の鍼灸を始める時期は?
鍼灸治療は早く始めたほうが逆子の矯正率が高かったとの報告があります。
逆子の鍼灸は早く始めたほうが良い
妊娠28~31週までに鍼灸治療を開始した方が、妊娠32週以降に鍼灸治療を開始した場合よりも矯正率が高いと報告されています。
産婦人科で逆子を指摘された場合にはできるだけ早く鍼灸治療を開始したほうが矯正率は良いかもしれません。
産婦人科で相談する
臍帯が複雑に巻き付いていたり、子宮内の環境によっては鍼灸治療で胎動を促すことが危険な場合もあります。
鍼灸治療を受ける際には、かかりつけの産婦人科の医師に相談することが望ましいです。
また、逆子の鍼灸治療は産婦人科でも取り入れられています。逆子とわかったら鍼灸治療を受けることをすすめる産婦人科の医師もいます。
鍼灸治療を受けることを医師に隠す必要はまったくありません。
鍼灸で逆子が治るメカニズムは?
明確な作用機序は不明ですが、鍼灸の刺激により子宮内の状態が良くなり、赤ちゃんが返りやすい環境になると考えられています。
逆子の鍼灸治療
逆子の鍼灸治療では伝統的に至陰や三陰交といった足のツボを使います。
足のツボに鍼やお灸をするわけです。
逆子の鍼灸効果のメカニズム
考えられているメカニズムは以下のとおりです。
⇨ 脊髄性・上脊髄性の自律神経反射がおきる
⇨ 子宮の動脈が拡張される
⇨ 子宮への血流量が増える
⇨ 子宮が柔らかくなる
⇨ 胎児が頭位に返りやすい子宮内環境になる
逆子の鍼灸の安全性は?リスクは?
そもそも妊娠中でも鍼灸治療は刺激量に気をつけることで安全に受けていただくことが可能です。
逆子の鍼灸治療では以下のような有害事象が低頻度ですが起こり得ます。
・水疱
・色素沈着
お灸の有害事象
水疱や色素沈着に関してはお灸により起こるものと推察されます。
お灸はその特性上、低温やけどを起こすときが稀にあります。
これは鍼灸院のやり方にもよりますが、本来のお灸は直接肌にもぐさをのせて焼き切るものです。
火傷を防ぐやり方もある
当院の場合には跡が付くのと火傷を防ぐために緩和の灸点紙を使って施術することが多いです。
また、お灸にもいろいろ種類があり間接的に熱感を伝えるようなやり方もあります。
逆子の鍼灸治療は安全
逆子の鍼灸治療による重篤な有害事象の報告はなく、鍼灸は安全な治療法と考えらています。
当院でも産婦人科で鍼灸治療を勧められて来院されます。
産婦人科の医師も逆子に対する治療として鍼灸治療を勧めることがあり、安全です。
迷ったら担当医に相談
お母さんの体の状況や赤ちゃんの状態を一番良くわかっているのはかかりつけの担当医さんです。
逆子の鍼灸治療を受けてみたいけど、迷っている場合には担当医に相談するのがオススメです。
参考文献
- 笠井ら. 妊婦に対する鍼灸治療の現状. 全日本鍼灸学会雑誌. 2018 年 68 巻 4 号 p. 238-256.
- 田中ら. 骨盤位妊婦に対する鍼灸治療の矯正率と安全性-切迫早産妊婦を含む371例での検討-. 全日本鍼灸学会雑誌. 2021 年 71 巻 2 号 p. 86-94.
- 辻内ら. 骨盤位に対する鍼灸治療の効果の検討 鍼灸治療開始までの期間が矯正率に与える影響. 全日本鍼灸学会雑誌. 2017 年 67 巻 1 号 p. 56-63.
- 辻内ら. ランダム化比較試験による骨盤位に対する鍼灸治療の効果の検討. 全日本鍼灸学会雑誌. 2017 年 67 巻 3 号 p. 215-223.
- 畑瀬ら. 骨盤位矯正を目的に実践された病鍼連携の成果 ― 骨盤位矯正が図られた週令数およびそのときの骨盤位矯正率に着目した解析より ―. 日本東洋医学系物理療法学会誌. 2020 年 45 巻 2 号 p. 33-40.
- 東原亜希子, 堀内成子. 鍼灸治療を受けた骨盤位の転帰と胎動の変化. 日本助産学会誌. 2016 年 30 巻 1 号 p. 120-130.