「突発性難聴は鍼灸でよくなる?」
「重症の突発性難聴でも鍼治療で改善するの?」
こんにちは!吉祥寺メックス鍼灸院の佐藤です。
突発性難聴は鍼灸治療で改善が期待できます。
標準治療もそうですが、発症したらできるだけ早い段階で鍼を併用するのがオススメです。
- 突発性難聴は鍼灸治療で改善が期待できる
- 耳鳴りやめまいが併発しているなど重症の場合は改善までに時間がかかる
- 重症例でも鍼治療を併用することで改善が期待できる
目次
突発性難聴とは
突発性難聴は原因不明の急性難聴です。
人口10万人あたり60.9人発症すると推定されており、50代から60代に多いと報告されています。
治療法はステロイド剤、代謝・循環改善薬、高圧酸素療法などがおこなわれますが、全ての治療法の効果は十分に立証されていません。
突発性難聴の予後
突発性難聴は様々な要因によって予後が異なります。
重症度
突発性難聴の予後は「初診時聴力レベルの重症度」が上がるほど治癒率は悪いとされています。
Grade 1、2 … 治癒率50%以上
Grade 3 … 治癒率40%程度
Grade 4 … 治癒率10%程度
5周波数の平均
・Grade 1 :40dB未満
・Grade 2 :40dB以上、60dB未満
・Grade 3 :60dB以上、90dB未満
・Grade 4 :90dB以上
治療開始までの日数
突発性難聴の予後が悪くなる因子として、治療開始までの日数が大きく関わります。
発症から7日以内に治療開始 … 治癒率60%
発症から7日~13日に治療開始 … 治癒率40%
発症から14日以降に治療開始 … 治癒率30%
めまいの有無
突発性難聴は発症時のめまいの有無によっても予後が大きく異なります。
めまいがない場合:治癒率50%
めまいがある場合:治癒率20%
突発性難聴の鍼灸治療
突発性難聴に対する鍼灸治療
耳周囲の特効穴治療
耳鼻科系疾患に対しては耳周囲に特効穴が多くあります。
特に、耳門・聴宮・聴会は耳鼻科系疾患では必ず用います。
刺激量が足りない場合にはすべてのツボを貫くように刺す(透刺鍼法)こともあります。
内耳の血流改善を促す治療
頸や肩が緊張していると耳への血流が滞ります。
頸・肩に鍼をすることで筋緊張の緩和と血流の改善を促します。
特に、耳の治療では翳風にしっかりと響きが出るように刺鍼します。
突発性難聴に対する鍼灸治療の有効性
2019年に突発性難聴に対する鍼灸治療の有効性に関するメタ解析が報告されています。
それによると、「標準治療と鍼治療の併用」は「標準治療単独」よりも予後が良好であったと報告されています。
ただし、メタ解析のために抽出された突発性難聴にたいする鍼灸治療の研究報告の多くは症例数が少ないため、しっかりと効果を立証するにはより大規模なランダム化比較試験が必要であるとされています。
また、めまいがあり、Grade4の重症例であっても鍼治療を継続併用することで良好な結果が認められるとも報告されています。「頸肩部に鍼治療を行うことで椎骨動脈を介し内耳の血流改善が認められ聴力回復に寄与した可能性が考えられる」とされています。(井畑ら. 「突発性難聴に対する治療戦略- 現代医療における鍼灸の有用性 -」日本東洋医学系物理療法学会誌. 2022 年 47 巻 2 号 p. 43-46)
突発性難聴の鍼灸治療頻度
週1回の頻度で鍼灸治療を行うことが理想的です。
回数は週1回で3〜4ヶ月がひとつの目安になります。
自覚症状として改善されているのであれば、継続して治療を続けることをオススメしております。