50代・男性/長時間の残業が続く会社員
- 来院時
- 不眠・耳鳴り・胸の苦しさ・不安感・喉と鼻の奥の詰まり感・倦怠感——症状は6つを超え、いくつもの科で検査を受けても異常は見つかっていませんでした。
- 経過
- 週1回の通院を続け、4〜5回目で睡眠薬を使わずに眠れる日が増え、胸の痛みも引きました。後から出た症状から順に軽くなり、いちばん古い耳鳴りが最後まで残っています。
- 現在
- 週1回を1年半続けたのち、体調が保てるようになり隔週・月1回へ。いまは必要と感じたときの来院です。
このページの要点
耳鳴りで耳鼻科、頭がクラクラして脳神経内科、胃の不快感で消化器科。それぞれで検査を受けたけれど、はっきりした異常は見つからなかった——吉祥寺メックス鍼灸院には、こうした経過をたどって来院される方が多くいます。最後にかかった科で「自律神経の問題でしょう」「ストレスですね」と言われた方、心療内科で自律神経失調症や適応障害と言われた方もいます。
症状がひとつに絞れないことも、よくあります。だるさ、眠りの浅さ、動悸、めまい、胃の不快感、目のまわりのぴくつき。日によって出てくる症状が変わる、という方も来院されています。眠れないことだけ、動悸だけ、と症状がはっきりしている場合は、その症状を中心に組み立てますので、予約時か問診でお伝えください。
50代・男性/長時間の残業が続く会社員
30代・女性
自律神経の不調で来院される方の多くは、すでにいくつもの科で検査を受けています。次に挙げるのは、その検査で確かめておいていただきたい範囲です。まだ受けていない場合や、当てはまる症状がある場合は、鍼灸より先に受診をお願いしています。
すでに診断がついている方でも、これらが新しく出てきた場合や、症状の性質が急に変わった・明らかに強くなった場合は、再受診をお願いしています。
初期は週1回を目安にしています。症状が強く出ている時期は週2回で組み立てることもあります。
当院のカルテを振り返ると、経過は大きく二つに分かれます。症状が軽い方は、数回の施術で落ち着き、そのまま通院を終了されることが多くあります。一方、症状が強い方や、医療機関で自律神経失調症・適応障害などの診断を受けている方では、数回で大きく変わることは少なく、まとまった期間、週1回の通院を続けることが前提になります。実際に改善に至った方は、週1回の通院を続けられた方でした。施術のあとに楽になる感覚は早い時期からあった方でも、症状に左右されずに生活できる状態まで戻る時間は人によって大きく違います。半年から1年以上かけて隔週・月1回と間隔を空け、いまは必要と感じたときだけ来院される方もいます。その一方で、途中で通院を中断される方も少なくありません。
変化の見え方には、当院で施術をしてきたなかでの実感がひとつあります。症状が複数ある方では、後から出てきた症状のほうが先に軽くなり、最初に出た症状が最後まで残ることが多い、という傾向です。たとえば動悸から始まった方では、あとから加わった眠りの浅さや胃の不快感が先に軽くなり、動悸は最後まで残りやすい。研究で確かめられたものではなく、あくまで当院の臨床上の実感ですが、一番つらい症状だけを見ていると変化に気づきにくいことがあるため、毎回どの症状がどう変わったかを確認しながら次の間隔を決めています。
続けても変化が見えてこない場合は、そのことをそのままお伝えします。自律神経の不調がそのまま悪化し続けることは多くないため、いったん鍼灸を続けずに様子を見ていただく選択もあります。続けるかどうかはご本人に決めていただきます。当院から通院をお願いすることはありません。
前回の施術日から1か月以内(翌月の同じ日まで)にご来院いただくと、リピート割が適用されます。
最初に確認するのは、手足と背骨の両脇の状態です。触って見ているのは3つ。押すと痛む場所、硬く縮んでいる場所、そして逆に、張りがなく力の入らない場所。肩から背中が持ち上がったまま下りてこない方もいれば、全体にこわばっている方、部分的に沈み込んだようになっている方もいます。どの出方をするかは人によって違うため、鍼をする場所はあらかじめ決めていません。
ご希望の方には、施術の前に自律神経の状態を測る測定も行っています。手足の皮膚で、電気の通りやすさを測るものです。痛みはありません。乱れの程度と、体のどのあたりが偏っているかがある程度目に見える形になり、触診で確かめた内容と合わせて、その日どこに鍼をするかの判断に使います。ただし、測定でわかることには限りがあります。安定剤や精神科で処方されるお薬を服用中の方は、実際の状態より整った結果が出ることがあります。
施術は仰向けから始めます。まず手足に鍼をして、刺した鍼に低い頻度で電気を流します(鍼通電)。1秒に1〜3回ほどのゆっくりした間隔で、その方に合う速さを選びます。感覚としては、電気に合わせて筋肉がトントンと軽く収縮する程度です。症状が強く出ている時期は、この刺激を不快に感じる方がいます。その場合は電気治療は行いません。おなかの張りや胃腸の症状をともなう場合は、おなかにも鍼の施術を行います。
うつ伏せに変わってからは、背骨の両脇です。背骨の両脇からは、内臓に向かう自律神経が各臓器へ伸びています。体の表面への鍼の刺激が、神経を通って内臓のはたらきに反映されること(体表と内臓のあいだの反射)も古くから調べられていて、背骨の両脇はその入り口にあたる場所です。首から腰まで、背骨のきわを縦にたどりながら鍼をする場所を絞ります。この背骨のきわに並ぶ点は華佗夾脊穴(かだきょうせきけつ)と呼ばれ、古くから自律神経の不調に使われてきた場所ですが、並んでいる点のすべてに鍼をするわけではありません。触って反応の出ている場所に絞ります。
どなたにも共通して、自律神経を整える施術を組み込んでいますが、自律神経の不調が主訴の方の施術は、その分量を増やしたものではなく、別の組み立てになります。
ほかに持病がある方、常用しているお薬がある方も来院されています。ほとんどの場合はそのまま受けていただけますが、刺激量の調整に関わることがあるため、問診でお知らせください。
自律神経の不調では、仰向けで手足とおなか側に、うつ伏せで背骨の両脇に施術するため、施術範囲がおなか側と背中側の両方にまたがります。このためダブルコースが対象になります。
ダブル両面施術・50分ほど
9,900円リピート割 8,800円
週1回や隔週で通われる場合は、前回から1か月以内のご来院になるため、2回目以降は毎回リピート割が適用されます。
初回は問診がありますが、所要時間は同じく50分ほどです。
自律神経の状態を測る測定は、ご希望の方のみのオプション(1,100円)です。施術の前に測り、その結果も見て鍼をする場所を決めます。測定にかかる時間はごくわずかで、施術の所要時間は変わりません。測定を受けずに、触診だけで組み立てることもできます。
使用する鍼・手技・鍼に電気を流す方法については、コース詳細ページで写真つきでご覧いただけます。
当院は保険取扱いのない、自費の鍼灸院です。
検査でわかるのは、臓器そのものに異常があるかどうかです。自律神経は臓器の側ではなく、それらを調節している側のはたらきを担っています。調節の側に偏りが出ていても、臓器そのものが正常であれば、検査の数値や画像には出てきません。
症状が同時にいくつも出るのは、このためです。心臓、胃腸、眠り、体温、汗——それぞれ別の器官ですが、調節している神経はつながっています。当院に来られる方では、状態が強い方ほど症状の数が多く、5つ6つ挙げられる方もいれば、2つ3つにとどまる方もいます。日によって出る症状が入れ替わることも、特定の器官の故障としては説明がつきにくい部分です。
仕事や生活の負荷が変わらない限り、症状がゼロのまま固定されることは多くありません。目安にしているのは、症状が軽い状態がどのくらい続くかです。同じように楽になっても、数日で戻るのか、数週間もつのかで、通う間隔は変わります。
当院が対象にしているのは、検査で異常が見つからないまま続いている不調です。だるさ、眠りの浅さ、動悸、めまいやふらつき、胃の不快感、首肩のこりや頭痛をともなうもの。姿勢や忙しさ、季節の変わり目で症状の強さが変わる方の多くが、ここに含まれます。
こうした不調に鍼が働きかけられるのは、こった筋肉をゆるめるからだけではありません。鍼の刺激は皮膚や筋肉の感覚神経を通って脳や脊髄に届き、そこから折り返して、内臓や血管に向かう自律神経のはたらきが調整されます。この道筋があるために、鍼はこりや痛みだけでなく、眠りや胃腸、心拍といった自分の意思では動かせない部分にも使われてきました。
心療内科や婦人科で診断名がついている方も来院されています。この場合、鍼灸の対象になるのは症状そのものの軽減で、診断された病気を鍼で治すものではありません。治療や服薬と並行して受けていただく形になります。まだ受診していない場合は、先に受診をお願いすることがあります。
不安や気分の落ち込みをともなう方も来院されています。程度が軽いものであれば、鍼を続けるなかで落ち着いていった方もいます。一方で、それらが症状の中心にあって強い場合は、鍼灸だけで対応できる範囲を超えます。医療機関にかかりながら通われている方もいて、並行して受けていただけます。
効果の出方には個人差があります。施術後は一時的にだるさが出ることがあり、通常は数時間から1日ほどでおさまります。
「自律神経失調症」という病名を対象にした臨床研究は、ほとんど行われていません。統一された診断基準がなく、研究の対象としてまとめにくいためです。参照できるのは、隣接する2つの領域になります。
ひとつは、鍼の前後で心拍のゆらぎ(自律神経のはたらきを推し量る指標)を測った研究です。10件744人をまとめた2025年の分析では、ゆらぎの総合的な指標に改善が報告された一方、ほかの指標では差がなく、研究ごとのばらつきも大きいとされています。もうひとつは、体の症状が続く状態(身体症状症)に対する研究で、5件376人をまとめた分析では、抗うつ薬に鍼を加えると不安の評価は改善したものの、痛みの評価には差がありませんでした。
つまり、この病名を対象にした臨床研究は、まだ進んでいないのが現状です。症状の組み合わせも経過も一人ひとり大きく違うため、大人数を集めて平均を比べる研究の形になじみにくい対象でもあります。当院では、効果の見え方は一人ひとりの経過(症例)として示すほうが正確だと考えています。一方で、鍼が自律神経のはたらきに影響すること自体は、生理学の領域で古くから調べられています。
体表に鍼を刺すと、皮膚や筋肉の感覚神経が興奮し、その情報が脊髄や脳へ伝わります。そこから折り返して、内臓や血管に向かう自律神経のはたらきが変わります。これは体性-自律神経反射と呼ばれ、麻酔をかけた動物で系統的に調べられてきた仕組みです。鍼がこりや痛みだけでなく、自分の意思では動かせない部分に使われてきたのは、この経路があるためです。
届き方には2通りあります。ひとつは脳を経由するもので、手足への刺激で特に強く起こります。ラットの後ろ脚への鍼では心拍数と血圧が下がる反応が記録されていて、首の高さで脊髄を切るとこの反応が消えることから、折り返し地点が脳にあることが確かめられています。心臓に向かう交感神経の活動が抑えられて心拍数が下がる、という順序まで追われています。
このとき、皮膚だけを刺激しても反応は起きず、筋肉まで刺激したときにはっきり出ます。当院が手足に鍼をするとき、皮膚をなでるような刺激ではなく筋肉の層まで届かせているのは、この違いがあるためです。
もうひとつは脊髄で折り返すもので、こちらは体幹への刺激でだけ起こります。臓器につながる神経が出入りしている背骨の高さに刺激が入ったときにだけ反応する、という仕組みです。おなかへの鍼で胃の動きが抑えられる反応がこれにあたります。当院が背骨の両脇に鍼をし、症状によっておなか側にも鍼をするのは、この経路を使うためです。手足と、背中側・おなか側とでは、届き方そのものが違います。
向きについては、同じ刺激が状態によって反対に働くという報告もあります。麻酔をかけていないラットでは、胃の動きがもともと出ていない個体では鍼で動きが出て、動きが出ている個体では逆に止まりました。当院が「整える」という言い方をしているのは、この調整の向きを指しています。
ただし、ここまではいずれも麻酔をかけた動物での実験です。意識のある人で同じことが起きるとは限らない点は、研究者自身が注意点として挙げています。人では、鍼のあとに心拍のゆらぎが変わるという報告はありますが、結果は研究間で一致していません。「交感神経が下がって副交感神経が上がる」という単純な図式で説明されることがありますが、その指標の読み方自体に議論があり、そう言い切ることはできません。
当院がその日の状態を触診で確かめてから鍼をする場所を決め、刺激の強さを変えているのは、鍼の作用が「どこに・どのくらい」で変わるという、この積み重ねを前提にしているためです。
最も多くいただく質問ですが、症状の数や続いている期間によって幅があります。症状が軽い方は数回で落ち着くことが多い一方、症状が強い方では、症状に左右されずに生活できる状態まで半年から1年以上かかることもあります。目安にしているのは、施術のあと症状が軽い状態がどのくらい続くか、そしてその期間が回を追って延びていくかどうかです。症状が複数ある方では、後から出た症状のほうが先に軽くなり、最初に出た症状が最後まで残る傾向があります。続けても変化が見えてこない場合は、そのことをそのままお伝えします。
初期は週1回を目安にしています。症状が強い時期は週2回にすることもあります。症状が軽い方は数回で落ち着いて終了されることが多く、症状が強い方は週1回の継続が前提になります。続けた方では、落ち着いてから隔週・月1回と間隔を空け、必要と感じたときだけ来院される方もいます。一律の頻度は設けておらず、変化の続き方を見ながらご相談して決めています。
問題ありません。服薬中の方も来院されています。薬を減らす・やめるといった判断は当院からはお伝えしていませんので、処方している医師にご相談ください。刺激量の調整に関わることがあるため、飲んでいるお薬は問診でお知らせください。
いいえ、ご希望の方のみです。測定を受けた場合は、その結果も見て鍼をする場所を決めます。受けない場合は触診で判断します。安定剤などを服用中の方は実際の状態より整った結果が出ることがあり、測定だけで決まるものでもありません。
予約状況の確認とご予約は、予約ページから直接お取りいただけます。
このページは、自律神経失調症に対する鍼灸について、当院の考え方と実際の経過をまとめたものです。個別の診断や治療方針の判断に代わるものではありません。検査や治療については、かかりつけの医師にご確認ください。
この記事を書いた人
吉祥寺メックス鍼灸院で鍼灸専門の施術を行っています。
18歳の頃に鍼灸を初めて受け、その効果を実感し、その後鍼灸の道へ。以来さまざまな流派・技法の施術を受け続け、これまでに100名以上の施術者の鍼を経験してきた鍼灸愛好家でもあります。
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