股関節痛

このページの要点

症状の特徴
歩き出しや立ち上がりで脚の付け根やお尻の横が痛みます。関節を動かす筋肉のこりが出どころのことが多い症状です。
当院の施術
お尻の横側と脚の付け根の奥の筋肉に鍼をします。低周波の通電を基本的に併用します。
通い方の目安
動作の痛みが落ち着けばいったん終了します。3回続けて変化がなければ、その時点で見込みをお伝えします。
対象コース
うつ伏せと仰向けの両方から鍼をするため、ダブルコースです(料金は下に記載)。
研究の状況
筋肉のこりによる股関節の痛みだけを対象にした試験は見あたりません。
先に受診を
転倒後に体重をかけられない、発熱を伴う急な激痛、夜間に強まる痛みは医療機関へ。
目次

歩き出しや立ち上がりで、脚の付け根やお尻の横が痛む

椅子から立ち上がる、朝の歩き出し、階段を上る。そのたびに脚の付け根やお尻の横、太ももの外側に痛みが走り、しばらく動くと薄れる。長く立っていると股関節のまわりが重だるくなり、脚を横に開く動作や、股関節を深く曲げる動作がしづらい。整形外科で画像を撮っても大きな異常はないと言われた。

吉祥寺メックス鍼灸院に「股関節が痛い」と来院される方は、股関節だけを主訴とするより、腰やお尻、太ももの症状と重なっていることがほとんどです。立ち仕事の方、スポーツや筋力トレーニングを続けている方に多く、男女を問いません。触診で確かめると、痛みの出どころは2つに分かれます。股関節の骨の出っ張りのまわりにある、お尻の横側の筋肉か、脚の付け根の奥にある筋肉です。どちらも、関節そのものではなく、関節を動かす筋肉が痛みの出どころになっている状態です。

整形外科で「変形性股関節症」「臼蓋(きゅうがい)形成不全」と診断を受けている方については、変形性股関節症のページで説明しています。痛むのが脚の付け根ではなくお尻の奥で、太ももの裏からふくらはぎにかけてしびれや痛みが走る場合は、お尻の奥の筋肉や坐骨神経が関わる別の状態が考えられます。腰そのものが主に痛む方は、腰痛の症状に近い場合があります。

股関節の痛みで、先に医療機関を受診していただきたいとき

股関節の痛みには、関節そのものの変形や骨の形が関わっていることがあります。歩き出しや立ち上がりの痛みが数週間以上続いている方で、まだ整形外科で画像の検査を受けていない場合は、鍼灸より先に、股関節の状態を画像で確認していただくようお願いしています。変形の程度や骨の形は触診では分からず、そこが分かってはじめて、鍼灸が対象にできる範囲を判断できるためです。

次の状態がある場合は、骨折や別の病気の可能性があるため、鍼灸より先に整形外科などでの評価をお願いしています。

  • 転倒やつまずきのあと、または軽い動作のあとに急に痛みが強くなり、脚に体重をかけられなくなった(骨粗鬆症のある方は特に。骨折の可能性)
  • 発熱を伴って急に激しく痛みだし、股関節をほとんど動かせない(関節の感染の可能性)
  • 安静にしていても、夜間に痛みが強まる。原因のはっきりしない体重の減少がある

歩くとふくらはぎがしびれる、両脚に症状が出る、という場合は、股関節より腰の神経が関わっていることが多く、腰の評価が先になります。

すでに整形外科で診断を受けている方でも、痛みの性質が急に変わった、明らかに強くなった、脚を動かせなくなった場合は、再受診をお願いしています。

股関節痛で鍼灸に通う頻度と期間の目安

股関節痛は、歩き出しや立ち上がりの痛みが落ち着けば、いったん終了とする方針です。区切りにしているのは、日常の動作で股関節の痛みを思い出す場面が減り、施術のときに股関節の痛みの話が出なくなったときです。痛みがゼロになることを条件にはしていません。

間隔は、初回の施術でどの程度変化があり、良い状態がどのくらい続いたかを見て決めます。動作のたびに痛む状態が続いている間は週1回を目安にし、痛む場面が減ってきたら2〜3週に1回へ間隔を空けていきます。

施術は毎回同じではありません。その日の股関節の動きと触診で鍼をする部位を決め、刺激の強さも調整します。初回から3回ほど続けてもまったく変化が出ない場合は、その先も長い期間変化が出にくい可能性があることを、その時点でお伝えします。続けるか、いったん様子を見るかは、そのうえでご相談して決めます。変化はあっても乏しい場合は、5回を目安に同じ相談をします。変化があるかどうかは、ご本人の感覚を基準に、施術の前に伺います。施術のあとだけ楽になって数日で戻る、という場合は、変化がある側に数えます。

動作の痛みが落ち着いたあと、背景に腰やお尻のこりがある方は、そのこりを整える目的で1〜2か月に1回ほどの間隔で通うこともできます。立ち仕事やスポーツを続けている方の中には、この通い方を選ばれる方がいます。

股関節痛に対する当院の鍼灸治療

最初に確認するのは、どの動きで痛むかです。脚を横に開く、股関節を深く曲げる、片脚で立つ、といった動きを実際にしていただき、痛みが出る場面と場所を確かめます。そのうえで、お尻の横側から脚の付け根にかけてを触診し、硬さの位置と深さから鍼をする部位を絞り込みます。この部位は人によって違うため、あらかじめ決められるものではありません。

鍼をする部位は、大きく2か所です。1つは、股関節の骨の出っ張りのまわりにある、お尻の横側の筋肉(中殿筋・小殿筋)。片脚で体重を支えるたびに働く筋肉で、立ち仕事やスポーツで硬くなりやすい場所です。もう1つは、脚の付け根の奥、骨盤の内側から太ももの骨につながる筋肉。股関節を曲げる動きを担っていて、ここが硬いと歩き出しや立ち上がりで痛みが出ます。どちらを中心にするかは、触診と動きの確認で毎回決めます。関節の中に鍼を入れるのではなく、関節を動かしている筋肉の緊張をゆるめる、という考え方です。

施術は、うつ伏せと仰向けの両方の姿勢で行います。うつ伏せでお尻の横側と後ろ側に、仰向けで脚の付け根から太ももに鍼をします。お尻の横側は、うつ伏せと仰向けで届く角度が変わるため、どちらの姿勢でも鍼をします。

刺す深さは部位ごとに決めていて、深く刺すほど効くというものではありません。こりの中心と判断した層に届く深さで止めます。

刺した鍼に低周波の電気を流す方法(鍼通電)を基本的に併用します。手では届かない深さの筋肉を直接動かせるためです。刺激に過敏な方には使いません。刺激の強さは、施術中に確認しながら調整します。

ほかに持病がある方、常用しているお薬がある方も受けていただけます。多くの場合はそのままで問題ありませんが、刺激量の調整に関わることがあるため、問診でお知らせください。

股関節痛の鍼灸治療のコースと料金

股関節痛の施術は、お尻の横側と後ろ側にはうつ伏せで、脚の付け根から太ももには仰向けで鍼をします。体の向きを変えて両方の姿勢で施術するため、ダブルコースが対象になります。

ダブル両面施術・50分ほど

9,900円リピート割 8,800円

  • 初回は 11,000円(施術料 9,900円+初見料 1,100円)初見料は初めてのご来院時のみ
  • リピート割は前回の施術日から1か月以内(翌月の同じ日まで)のご来院に適用されます

初回は問診と動きの確認がありますが、所要時間は同じく50分ほどです。

腰やお尻のこりが重なっている方は、同じダブルコースの中であわせて施術します。その日の施術の配分は、問診でご相談して決めます。コースの目安は、いくつかの質問に答えるコース診断ツールでも確かめられます。

使用する鍼・手技・鍼に電気を流す方法については、コース詳細ページで写真つきでご覧いただけます。

当院は保険取扱いのない、自費の鍼灸院です。

なぜ、歩き出しや立ち上がりで痛むのか

股関節は、骨盤側の受け皿に太ももの骨の丸い先端がはまる形の関節で、体の表面から深い位置にあります。この関節を動かしているのが、お尻の横側の筋肉と、脚の付け根の奥の筋肉です。片脚で体重を支えるたびに、お尻の横側の筋肉が骨盤を水平に保ち、脚を前に振り出すたびに、脚の付け根の奥の筋肉が働きます。立ち仕事やスポーツ、筋力トレーニングでは、この2つの筋肉が毎日繰り返し使われます。

使われ続けた筋肉は力を抜けなくなり、硬いまま働き続けます。硬くなった筋肉は動き始めに引きつるため、歩き出しや立ち上がりの最初の数歩で痛み、動いているうちに薄れる、という出方になります。脚を横に開く・股関節を深く曲げる動作がしづらいのは、脚の付け根の奥の筋肉が伸びなくなっているためです。画像で関節に大きな異常がなくても痛むのは、痛みの出どころが関節ではなく、関節を動かしている筋肉にあることが多いためです。

もう1つ、痛む側をかばう歩き方が続くと、負担は腰と反対側の膝に移ります。股関節が痛い方の腰痛や膝の痛みは、この連鎖で出ていることがあります。

湿布や表面のマッサージで動作の痛みが変わりにくいのは、硬くなっている筋肉が体の表面から深い位置にあるためです。じっとしているときに楽になっても、片脚で体重を支えれば同じ筋肉が同じように働きます。

股関節痛の鍼灸治療に期待できること

改善が期待できる症状

当院が対象にしている中心は、関節のまわりの筋肉の緊張から来ている、動作のときの痛みの軽減と、動かしやすさの改善です。歩き出しや立ち上がりの痛み、長く立ったあとの重だるさ、脚を横に開く・股関節を深く曲げる動作のしづらさ、痛む側をかばうことで出ている腰や膝の負担がここに含まれます。

鍼をするのは、関節を動かしている筋肉です。関節の軟骨や骨の形を変える施術ではありません。画像で変形が確認されている方は、変形が進んでいく前提での付き合い方が変わるため、変形性股関節症のページに通い方を書いています。腰の神経から来ている脚の痛みやしびれも、股関節への施術では変わりません。

すでに整形外科で診断を受け、経過観察や運動療法の指示を受けている方も受けていただけます。鍼灸の対象は筋肉由来の痛みの軽減で、診断や治療の内容を当院が変えるものではありません。整形外科での治療と並行して受けていただけます。

効果の出方には個人差があります。施術後は一時的にだるさが出ることがあり、通常は数時間から1日ほどでおさまります。

研究で報告されていること

股関節の痛みに対する鍼灸の研究は、変形性股関節症を対象にしたものが中心で、そこでは鍼灸そのものの効果として確かめられた段階に至っていません。関節に変形がなく、筋肉のこりが出どころになっている股関節の痛みだけを対象にした試験は、当院が確認した範囲では見あたりません。当院はこの状況をふまえたうえで、関節のまわりの筋肉の緊張をゆるめることを目的に施術をしています。

股関節痛の鍼灸についてよくある質問

整形外科で「画像では異常なし」と言われました。鍼灸で対応できますか?

画像に写らない部分で起きている痛みは、当院が対象にしている中心です。関節に異常がなくても、関節を動かす筋肉が硬くなっていれば、歩き出しや立ち上がりで痛みが出ます。触診でその筋肉の硬さを確かめられれば、鍼の対象になります。逆に、触診で筋肉の硬さが見つからない場合は、その旨をお伝えして、整形外科での再評価をご提案します。

立ち仕事やスポーツを続けながらでも変化はありますか?

続けながらでも受けていただけます。ただし、痛みの出どころになっている筋肉は仕事や運動のたびに使われるため、休んでいる方より戻りやすい傾向があります。その分、動作の痛みが落ち着いたあとも間隔を空けて通われる方がいます。

ご予約

ご来院当日の流れ、お着替え、お支払い方法については、「初めての方へ」のページで説明しています。

予約状況の確認とご予約は、予約ページから直接お取りいただけます。

このページは、股関節痛に対する鍼灸について、当院の考え方をまとめたものです。個別の診断や治療方針の判断に代わるものではありません。検査や治療については、かかりつけの医師にご確認ください。

参考文献
  • Manheimer E, Cheng K, Wieland LS, et al. Acupuncture for hip osteoarthritis. Cochrane Database of Systematic Reviews. 2018;(5):CD013010. DOI

この記事を書いた人

佐藤長快

佐藤長快

鍼灸師

吉祥寺メックス鍼灸院で鍼灸専門の施術を行っています。

18歳の頃に鍼灸を初めて受け、その効果を実感し、その後鍼灸の道へ。以来さまざまな流派・技法の施術を受け続け、これまでに100名以上の施術者の鍼を経験してきた鍼灸愛好家でもあります。

  • 国家資格:はり師・きゅう師(鍼灸師)
  • 東京医療専門学校 鍼灸専科 卒業
  • 上海中医薬大学 短期留学 推拿コース/解剖コース 修了
  • 公益社団法人 全日本鍼灸学会 正会員
  • 認定NPO法人 健康医療評価研究機構(iHope International)臨床研究オンライン学習プログラム 修了
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