頸肩腕症候群

このページの要点

症状の特徴
首から腕の痛みやこり、しびれ、だるさが続くのに検査で異常が見つからない状態です。首や肩の筋肉の緊張が関わります。
当院の施術
触診でこりの位置を確かめ、首の後ろ・肩・背中側の筋肉に鍼をします。腕にこりがあれば腕にも鍼をします。
通い方の目安
週1回から始める方も、2〜3週に1回の方もいます。腕の症状が落ち着いた時点でいったん終了が多い症状です。初回から3回ほどで変化が出なければ、その時点で見込みをお伝えします。
対象コース
うつ伏せと仰向けの両方で施術するため、ダブルコースです(料金は下に記載)。
研究の状況
この病名を対象にした臨床試験は見あたりません。首の慢性的な痛みでは改善の報告が多い一方、腕の症状は研究の対象外です。
先に受診を
腕に力が入らない、手先の細かい動作がしにくい、歩きにくいといった症状をともなう場合は医療機関へ。
目次

首から腕まで続く痛みと、検査で異常なしと言われたこと

首のつけ根から肩、腕にかけての重い痛み。前腕のだるさ、手や指のしびれ。整形外科でレントゲンやMRIを撮っても、これといった異常は見つからず、「頸肩腕症候群」という名前だけが手元に残った——吉祥寺メックス鍼灸院に来院されるのは、こうした形で病名を告げられた方です。パソコン作業や手先を使う仕事で、同じ姿勢と同じ動きが一日続く方が中心です。

首や肩のこりが主で、腕まで症状が及んでいない場合は、首こりの状態に近いことがあります。反対に、腕に力が入らない、手先の細かい動作がしにくくなってきた、という場合は、鍼灸の前に確認していただきたいことがあります。

首・肩・腕の痛みで、先に医療機関を受診していただきたいとき

頸肩腕症候群という名前は、首の骨や椎間板、神経の通り道に原因が見つからなかったときにつけられます。次に挙げる症状がある場合は、筋肉以外に原因がある可能性があるため、鍼灸より先に整形外科などでの評価をお願いしています。

  • 手先の細かい動作がしにくくなった、歩きにくさが出てきた、排尿の異常がある(神経の圧迫が進んでいる可能性)
  • 腕に力が入らない、小指側だけ・親指側だけなど指の一部に限ったしびれが続いている
  • 急に強いめまいが出た、ものが二重に見える、ろれつが回らない(首の血管に関わる状態の可能性・当日中の受診を)

すでに検査を受けて頸肩腕症候群と言われている方でも、これらの症状が新しく出てきた場合や、痛みの性質が急に変わった・明らかに強くなった場合は、再受診をお願いしています。

頸肩腕症候群で鍼灸に通う頻度と期間の目安

頸肩腕症候群は、腕の症状が落ち着けば、いったん終了とする方が多い症状です。首や肩のこりは仕事や生活の姿勢が続く限り戻ってきますが、腕のだるさやしびれまで広がった状態は、こりとは別に区切りをつけられます。当院が区切りにしているのは、日常でしびれやだるさを思い出す場面が減り、施術のときに腕の話が出なくなったときです。しびれがゼロになることを条件にはしていません。

そこまでの間隔は、初回の施術でどの程度変化があり、良い状態がどのくらい続いたかを見て決めます。症状が長く続いていて変化が出にくい方は、週1回から始めます。一方で、はじめから2〜3週に1回の間隔で組み立てる方もいます。

腕の症状が落ち着いたあとは、そこで終了する方もいれば、背景にある首肩のこりを整える目的で、1〜2か月に1回ほど間隔を空けて通われる方もいます。こりが積み上がる前に落としておく通い方です。この場合、施術は首肩のみになるため、コースはスタンダードコースに変わります。

施術は毎回同じではありません。その日の触診で鍼をする部位を決め、刺激の強さも調整します。そのうえで、初回から3回ほど続けてもまったく変化が出ない場合は、その先も長い期間変化が出にくい可能性があることを、その時点でお伝えしています。続けるか、いったん様子を見るかは、そのうえでご相談して決めます。同時に、鍼に電気を流す方法や腕への施術の比重など、組み立てを大きく変えるのもこのあたりです。変化はあっても乏しい場合は、5回を目安に同じ相談をします。変化があるかどうかは、ご本人の感覚を基準に毎回の施術の前に伺います。施術のあとだけ楽になって数日で戻る、という場合は、変化がある側に数えます。

しびれについては、別の見方をしています。しびれは、こりや硬さのように触って確かめられる所見がなく、ご本人の感覚だけが手がかりになります。首・肩・腕の筋肉がゆるんできているのに、しびれだけが変わらずに残る場合は、筋肉ではなく神経の通り道に原因がある可能性のほうが高いと考えています。この場合は、整形外科での評価をご提案します。すでに検査を受けて異常なしと言われている方は、同じ医療機関に「首肩は軽くなったが、しびれだけが残っている」と伝え、神経の検査を追加するかどうかを相談してください。評価を受けるまで鍼灸を止める必要はありません。結果を聞いてから、続けるかどうかをご相談して決めます。

頸肩腕症候群に対する当院の鍼灸治療

最初に確認するのは、どこがこりの中心になっているかです。首を動かして引っかかる方向を確かめ、触診で硬さの位置と深さを確かめて、鍼をする部位を絞り込みます。この部位は人によって違うため、あらかじめ決められるものではありません。

首の後ろ、肩の上、肩甲骨のまわり、背中側。ここまでは首こりの施術と同じです。頸肩腕症候群で変わるのは、腕にも鍼をする点です。腕のしびれやだるさがある方の腕や前腕を触ると、肘のまわりや前腕の筋肉が硬くなっていることがあります。その場合は、首肩に加えて、腕・前腕のこりにも鍼をします。首や肩だけを施術して腕の症状が残る方には、この組み立てになります。

訴えが複数ある場合は、いちばん困っている症状から順に施術します。一度の施術で扱える範囲には限りがあるため、その日はどこを中心にするかを、施術前にご相談したうえで決めます。

刺す深さは部位ごとに決めていて、深く刺すほど効くというものではありません。こりの中心と判断した層に届く深さで止めます。首の後ろは角度と深さを管理して刺し、肩の上は深く刺さない部位として扱っています。

刺した鍼に低周波の電気を流す方法(鍼通電)を基本的に併用します。手では届かない深さの筋肉を直接動かせるためです。刺激に過敏な方には使いません。刺激の強さは、施術中に確認しながら調整します。

ほかに持病がある方、常用しているお薬がある方も来院されています。ほとんどの場合はそのまま受けていただけますが、刺激量の調整に関わることがあるため、問診でお知らせください。

頸肩腕症候群の鍼灸治療のコースと料金

頸肩腕症候群の施術は、うつ伏せで首の後ろから背中側に、仰向けで腕・前腕と、必要に応じて胸の前側に鍼をします。体の両面に施術するため、ダブルコースが対象になります。

ダブル両面施術・50分ほど

9,900円リピート割 8,800円

  • 初回は 11,000円(施術料 9,900円+初見料 1,100円)初見料は初めてのご来院時のみ
  • リピート割は前回の施術日から1か月以内(翌月の同じ日まで)のご来院に適用されます

初回は問診がありますが、所要時間は同じく50分ほどです。

腕に症状がなく、首や肩のこりだけであれば、うつ伏せでの施術で完結するスタンダードコースが対象になります。その場合の施術内容は首こりのページに掲載しています。コースの目安は、いくつかの質問に答えるコース診断ツールでも確かめられます。腕に鍼をするかどうかは、当日に腕を触って決めます。

使用する鍼・手技・鍼に電気を流す方法については、コース詳細ページで写真つきでご覧いただけます。

当院は保険取扱いのない、自費の鍼灸院です。

なぜ検査で異常が出ないのに、首から腕まで症状が続くのか

頸肩腕症候群は、首の骨や椎間板の変形、神経の圧迫といった原因が検査で見つからなかったときに残る名前です。原因が「ない」のではなく、画像に映る場所にはなかった、という意味です。

症状の中心にあるのは、首から肩、腕にかけての筋肉の緊張です。画面を見る姿勢や、キーボード・工具・楽器など手先を使い続ける作業が長時間続くと、首の後ろ・肩の上・腕の筋肉は同じ長さで縮んだまま固定されます。血流が落ち、痛みを起こす物質がたまり、筋肉がこわばります。この状態が続くのが、頸肩腕症候群の土台です。

首や肩のこりと違うのは、症状の広がり方です。首肩の痛みやこりに加えて、腕のだるさ、手の冷え、握力が落ちた感じが出ることがあります。さらに、頭痛、眠りにくさ、倦怠感、気分の落ち込みまで広がる方もいます。頸肩腕症候群は、もともとこうした広がり方をする症候群として定義されています。

症状が長引いている方では、筋肉のこりの強さだけでは説明がつかないほど、痛みを受け取る側の神経が敏感になっていることがあると考えられています。強い緊張が長く続いた結果、痛みの信号が通りやすくなっている状態です。この場合、こりをゆるめるだけでは痛みが引ききらないことがあります。

マッサージや湿布で一時的に軽くなっても戻るのは、2つの理由によります。ひとつは、こりの中心が手では届かない深さにあること。もうひとつは、同じ姿勢と同じ作業が続いている限り、緊張を作る条件が変わらないことです。

頸肩腕症候群の鍼灸治療に期待できること

改善が期待できる症状

当院が対象にしている中心は、首・肩・腕の痛みとこり、動かしにくさです。首のつけ根から肩にかけての重さ、腕のだるさ、前腕の張り、手先を使ったあとに強くなる痛み。検査で異常が見つからず、姿勢や作業時間で症状が変わる方の多くが、ここに含まれます。

だるさ、冷え、眠りにくさ、気分の落ち込みなど、痛み以外の訴えをあわせて聞くことがあります。こうした訴えを施術の対象から外すことはしません。ただし、一度の施術で扱える範囲には限りがあるため、いちばん困っている症状から順に施術します。また、これらの広がりの部分に鍼灸で変化が出るかどうかは、この病名を対象にした研究では確かめられていません。首肩や腕の緊張がゆるむのにあわせて軽くなる方もいれば、変わらない方もいます。

腕や手のしびれは、腕や前腕の筋肉の緊張が関わっている場合は対象になります。こりがゆるんでもしびれだけが残る場合は、整形外科での評価をご提案しています。

すでに整形外科で頸肩腕症候群と診断されている方も来院されています。鍼灸の対象は症状そのものの軽減で、診断や薬の内容を当院が変えるものではありません。治療や服薬と並行して受けていただけます。

体の広い範囲に痛みが広がり、触れるだけで痛むような状態が続いている場合は、鍼灸単独では変化が乏しいことがあります。この場合は医療機関での評価と並行して受けていただく形をご提案します。

効果の出方には個人差があります。施術後は一時的にだるさが出ることがあり、通常は数時間から1日ほどでおさまります。

研究で報告されていること

頸肩腕症候群という病名を対象にした鍼の臨床試験は、見あたりません。この名前は、ほかの病気ではないと確認されたあとにつけられる日本の病名で、海外では同じ状態が首の慢性的な痛みとして研究されているためです。首の慢性的な痛みに対する鍼は研究の多い分野で、痛みと動かしにくさの改善は繰り返し報告されています。ただし、改善の大きさは研究によって幅があり、腕への広がりや痛み以外の症状は研究の対象になっていません。腕まで鍼をするかどうかは、研究の結果ではなく、実際に腕や前腕を触って硬さがあるかどうかで決めています。

頸肩腕症候群の鍼灸についてよくある質問

整形外科で頸肩腕症候群と言われました。通院や薬と並行して鍼灸を受けてもよいですか?

問題ありません。並行して受けている方も来院されています。薬は処方している医師の指示どおり続けてください。飲んでいるお薬は、刺激量の調整に関わることがあるため問診でお知らせください。

腕のしびれもあるのですが、鍼灸の対象になりますか?

腕や前腕の筋肉の緊張が関わっているしびれやだるさは、施術の対象にしています。腕を触って硬さがあれば、首肩に加えて腕にも鍼をします。首肩や腕のこりがゆるんでもしびれだけが残る場合は、神経の通り道に原因がある可能性のほうが高いと考え、整形外科での評価をご提案します(すでに検査を受けている方は、同じ医療機関に症状の変化を伝えて相談してください)。腕に力が入らない、小指側だけ・親指側だけなど指の一部に限ったしびれが続く、手先の細かい動作がしにくい、という場合は、鍼灸より先に整形外科での評価をお願いしています。

首や肩のこりが中心で、腕にはあまり症状がありません。それでも対象になりますか?

対象になります。その場合は施術がうつ伏せの首肩・背中側で完結するため、スタンダードコースになります。首肩のこりは仕事や生活の姿勢が続く限り戻ってくる性質があるため、落ち着いたあとは間隔を空けて維持する通い方が中心です。腕まで症状が及んでいる場合との違いは、腕にも鍼をするかどうかと、それにともなってコースと通い方の区切りが変わる点です。首や肩のこりの施術については、首こりのページに詳しく書いています。

ご予約

ご来院当日の流れ、お着替え、お支払い方法については、「初めての方へ」のページで説明しています。

予約状況の確認とご予約は、予約ページから直接お取りいただけます。

このページは、頸肩腕症候群に対する鍼灸について、当院の考え方をまとめたものです。個別の診断や治療方針の判断に代わるものではありません。検査や治療については、かかりつけの医師にご確認ください。

参考文献
  • Zhao L, Sun M, Yin Z, et al. Long-Term Effects of Individualized Acupuncture for Chronic Neck Pain: A Randomized Controlled Trial. Annals of Internal Medicine. 2024;177(10):1330-1338. DOI
  • Xie CR, Zhang ZY, Tao QF, et al. Effectiveness of Acupuncture for Neck Pain: Systematic Review and Meta-analysis with Trial Sequential Analysis. Journal of Pain Research. 2025;18:6297-6316. DOI

この記事を書いた人

佐藤長快

佐藤長快

鍼灸師

吉祥寺メックス鍼灸院で鍼灸専門の施術を行っています。

18歳の頃に鍼灸を初めて受け、その効果を実感し、その後鍼灸の道へ。以来さまざまな流派・技法の施術を受け続け、これまでに100名以上の施術者の鍼を経験してきた鍼灸愛好家でもあります。

  • 国家資格:はり師・きゅう師(鍼灸師)
  • 東京医療専門学校 鍼灸専科 卒業
  • 上海中医薬大学 短期留学 推拿コース/解剖コース 修了
  • 公益社団法人 全日本鍼灸学会 正会員
  • 認定NPO法人 健康医療評価研究機構(iHope International)臨床研究オンライン学習プログラム 修了
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