変形性膝関節症

このページの要点

症状の特徴
階段の下りや立ち上がりで膝が痛みます。画像の変形の程度と痛みの強さは一致しません。
当院の施術
関節の中には鍼を入れず、太ももと膝まわりの筋肉に鍼と低周波の通電をします。
通い方の目安
痛みをやわらげながら間隔を延ばします。3回続けて変化がなければ、その時点で見込みをお伝えします。
推奨コース
仰向けで太ももと膝まわりに鍼をするため、スタンダードコースが基本です(料金は下に記載)。
研究の状況
変形性膝関節症への鍼灸は、効果が確かめられた段階には至っていません。
先に受診を
急に腫れて熱をもつ、転倒後に体重をかけられない、夜間に強まる痛みは医療機関へ。
目次

「軟骨がすり減っている」と言われてからの、膝の痛み

整形外科でX線を撮り、「変形性膝関節症」「軟骨がすり減っている」と言われた。痛み止めやヒアルロン酸の注射、運動の指導を受けている。それでも、階段を下りるとき、椅子から立ち上がるとき、朝の歩き出しの数歩で膝が痛む。正座やしゃがむ動作を避けるようになり、長く歩いた日の夕方には膝がこわばる。

吉祥寺メックス鍼灸院では、変形性膝関節症と診断された方が、腰痛や首肩のこりなど別の症状で通われるなかで、膝の痛みの緩和をあわせて受けている形が中心です。膝の変形そのものは施術で戻らず、経過のなかで手術に進まれた方もいます。当院の施術は、その間の痛みをやわらげ、動ける状態を保つことを目的にしています。

まだ受診していない方は、順序として先に画像での評価をお願いしています。画像で大きな変形はないと言われた膝の痛みは、太ももやふくらはぎの筋肉の使いすぎから来ていることが多く、施術の組み立ても変わります。整形外科で変形性膝関節症と言われていない膝の痛みについては、膝痛・膝関節痛のページで説明しています。

膝の痛みで、先に医療機関を受診していただきたいとき

まだ整形外科で画像の検査を受けていない方は、鍼灸より先に、膝の状態を画像で確認していただくようお願いしています。軟骨や骨の状態は触診では分からず、そこが分かってはじめて、鍼灸が対象にできる範囲を判断できるためです。

すでに診断を受けている方でも、次の状態が新しく出てきた場合は、通常の変形の進み方とは別の事情が考えられるため、鍼灸より先に整形外科での評価をお願いしています。

  • 膝が急に腫れて熱をもち、発熱を伴う
  • 転倒やひねったあとに膝が引っかかる、急に力が抜ける、体重をかけられない
  • 夜間に強まる痛みが急に出てきた。原因のはっきりしない体重の減少がある

膝の裏からふくらはぎにかけてしびれる、両脚に症状が出る、という場合は、膝より腰の神経が関わっていることがあり、腰の評価が先になります。

数週間から数か月の単位で痛みや動かしにくさが急に進んだ場合も、再受診をお願いしています。

変形性膝関節症で鍼灸に通う頻度と期間の目安

変形性膝関節症では、関節の変形そのものは進んでいく性質のものです。そのため当院では、痛みを取りきって終わりにするのではなく、痛みと動かしやすさを保ちながら、施術の間隔を延ばしていく設計にしています。区切りの目安は、階段の下りや立ち上がりで痛みを思い出す場面が減り、日常の動作が続けられている状態が保てていることです。

間隔は、初回の施術でどの程度変化があり、良い状態がどのくらい続いたかを見て決めます。動作のたびに痛む状態が続いている間は週1回を目安にし、痛む場面が減ってきたら2〜4週に1回へ間隔を空けていきます。その間隔で良い状態が保てていれば、そのまま続けることも、いったん終了することもできます。長く歩いた時期や季節の変わり目に痛みが強まったときだけ、間隔を詰める方もいます。

施術は毎回同じではありません。その日の膝の動きと触診で鍼をする部位を決め、刺激の強さも調整します。初回から3回ほど続けてもまったく変化が出ない場合は、その先も長い期間変化が出にくい可能性があることを、その時点でお伝えします。変形の程度が進んでいる方では、筋肉の緊張をゆるめても痛みの変化が小さいことがあります。続けるか、いったん様子を見るかは、そのうえでご相談して決めます。変化はあっても乏しい場合は、5回を目安に同じ相談をします。変化があるかどうかは、ご本人の感覚を基準に、施術の前に伺います。施術のあとだけ楽になって数日で戻る、という場合は、変化がある側に数えます。

整形外科での定期的な画像の確認と、指示されている運動は、当院に通われている間も続けてください。変形の進み方は施術では分からないためです。

変形性膝関節症に対する当院の鍼灸治療

最初に確認するのは、どの動きで痛むかです。椅子からの立ち上がり、膝の曲げ伸ばし、しゃがむ動作を実際にしていただき、痛みが出る場面と場所を確かめます。そのうえで、太ももから膝まわりを触診し、硬さの位置と深さから鍼をする部位を絞り込みます。この部位は人によって違うため、あらかじめ決められるものではありません。

鍼をする部位は、大きく3か所です。1つは、膝のお皿の上から太ももの前にかけての筋肉。膝を伸ばして体重を支える筋肉で、関節をかばう動きが続くと硬くなり、立ち上がりや階段の下りで痛みを強めます。2つ目は、太ももの内側から膝の内側にかけての筋肉と、その付着部のまわり。変形性膝関節症では膝の内側が痛む方が多く、ここに硬さと押したときの痛みが出ます。3つ目は、膝の裏からふくらはぎにかけての筋肉。ここが縮んでいると膝が伸びきらず、歩幅が狭くなります。

関節の中や、関節のすきまには鍼を入れません。すり減った軟骨や骨の形に働きかける施術ではなく、関節を動かしている筋肉の緊張をゆるめる、という考え方です。

施術は仰向けを基本にします。太ももの前と内側、膝まわり、ふくらはぎまで仰向けのまま届きます。膝の裏や太ももの裏側の硬さが強い方、腰の痛みもあわせて診る方は、うつ伏せでの施術を加えます。

刺す深さは部位ごとに決めていて、深く刺すほど効くというものではありません。こりの中心と判断した層に届く深さで止めます。

刺した鍼に低周波の電気を流す方法(鍼通電)を基本的に併用します。手では届かない深さの筋肉を直接動かせるためです。刺激に過敏な方には使いません。刺激の強さは、施術中に確認しながら調整します。

ほかに持病がある方、常用しているお薬がある方も受けていただけます。ほとんどの場合はそのままで問題ありませんが、刺激量の調整に関わることがあるため、問診でお知らせください。

変形性膝関節症の鍼灸治療のコースと料金

変形性膝関節症の施術は、仰向けの姿勢で、太ももの前と内側、膝まわり、ふくらはぎに鍼をします。体の向きを変えずに1つの姿勢で完結することが多いため、スタンダードコースが基本になります。

スタンダード片面施術・40分ほど

8,800円リピート割 7,700円

  • 初回は 9,900円(施術料 8,800円+初見料 1,100円)初見料は初めてのご来院時のみ
  • リピート割は前回の施術日から1か月以内(翌月の同じ日まで)のご来院に適用されます

初回は問診と動きの確認がありますが、所要時間は同じく40分ほどです。

膝の裏や太ももの裏側の硬さが強い方、膝をかばうことで出ている腰の痛みや、首肩のこりもあわせて診る方は、うつ伏せの施術を加えるため、ダブルコースをご提案することがあります。すでにダブルコースで通われている方は、膝をあわせて診ても料金は変わりません。コースの目安は、いくつかの質問に答えるコース診断ツールでも確かめられます。

使用する鍼・手技・鍼に電気を流す方法については、コース詳細ページで写真つきでご覧いただけます。

当院は保険取扱いのない、自費の鍼灸院です。

変形があっても、痛みの出方が人によって違う理由

膝は、太ももの骨とすねの骨が向かい合い、その間を軟骨と半月板が受ける形の関節です。変形性膝関節症は、この軟骨がすり減り、骨の縁にとげができ、関節のすきまが狭くなっていく状態を指します。中高年に多く、日本では膝の内側からすり減る型が大半です。

ただし、画像に写る変形の程度と、痛みの強さは必ずしも一致しません。診療ガイドラインにまとめられた国内の調査では、X線で関節の変化がある方の数に対して、痛みなどの症状がある方はその3分の1ほどにとどまります。逆に、変形が軽くても強く痛む方もいます。痛みには、関節を包む膜の炎症や、膝を支える筋肉の状態など、複数の要因が関わっていると考えられています。

膝は、立ち上がるたび、階段を下りるたびに、太ももの前の筋肉が膝を伸ばしながら体重を支えます。関節に痛みや違和感があると、この筋肉は関節を守ろうとして力を抜けなくなり、硬いまま働き続けます。硬くなった筋肉は動き始めに引きつりやすく、立ち上がりや歩き出しの最初の数歩で痛み、動いているうちに薄れる、という出方になることがあります。階段の下りで特につらいのは、膝を曲げながら体重を受け止める動作が、この筋肉に大きな負荷をかけるためです。膝の裏やふくらはぎの筋肉が縮んで膝が伸びきらなくなると、歩幅が狭くなり、膝の内側にかかる負担も増えます。

痛む膝をかばう歩き方が続くと、腰や反対側の膝への負担が増えることがあります。変形性膝関節症の方の腰痛や、反対側の膝の痛みは、このような歩き方と関係していることがあります。

当院が施術の対象にしているのは、この「変形に対して筋肉が硬くなっている部分」です。変形そのものに働きかける施術ではありません。

変形性膝関節症の鍼灸治療に期待できること

改善が期待できる症状

当院が対象にしている中心は、膝を支える筋肉の緊張から来ている、動作のときの痛みの軽減と、動かしやすさの改善です。階段の下りや立ち上がりの痛み、歩き出しのこわばり、膝の伸びづらさ、痛む膝をかばうことで出ている腰や反対側の膝の負担がここに含まれます。

鍼をするのは、関節を動かしている筋肉です。すり減った軟骨や、骨のとげ、狭くなった関節のすきまを戻す施術ではありません。変形の進行を止める施術でもありません。膝に水がたまる状態そのものを施術で減らせるという裏づけもありません。手術が必要かどうかの判断は、画像に写る変形の程度と生活への支障をもとに整形外科が行う、主治医の領域です。

変形の程度が進んでいる方では、筋肉の緊張をゆるめても痛みの変化が小さいことがあります。その場合は、3回ほどの時点で見込みをお伝えします。

整形外科で運動療法や注射の治療を受けている方は、それを続けながら受けていただけます。鍼灸の対象は筋肉由来の痛みの軽減で、関節そのものの評価と治療は整形外科が担います。

効果の出方には個人差があります。施術後は一時的にだるさが出ることがあり、通常は数時間から1日ほどでおさまります。

研究で報告されていること

変形性膝関節症に対する鍼灸は、研究の上では、鍼灸そのものの効果として確かめられた段階に至っていません。鍼を受けた方は、受けなかった方や通常の治療だけの方と比べて痛みの軽減が大きい、という結果は複数の試験で報告されています。一方で、本物の鍼と、ツボから外れた場所に浅く刺す偽の鍼を比べた大規模な試験では、両者の差は示されていません。日本整形外科学会の診療ガイドライン(2023年)では、鍼治療は、質の高い研究がないことに加え、膝関節そのものへの鍼で合併症を経験したという委員の報告があることを理由に、「実施しないことを弱く推奨する」という位置づけです。当院が関節の中には鍼を入れず、膝を支える筋肉の緊張をゆるめて痛みをやわらげることを目的にしているのは、この状況をふまえた方針です。

変形性膝関節症の鍼灸についてよくある質問

整形外科で手術をすすめられています。鍼灸で手術を避けられますか?

鍼灸で手術の要否を変えることはできません。手術が必要かどうかは、画像に写る変形の程度と生活への支障から整形外科が判断します。当院が対象にしているのは、膝を支える筋肉の緊張から来ている痛みで、手術までの期間や、手術を見送っている間の痛みの軽減を目的に、整形外科と並行して受けていただくことはできます。手術の時期や要否については、主治医にご相談ください。

ヒアルロン酸やステロイドの注射、痛み止めと一緒に受けられますか?

受けられます。痛み止めは主治医の指示どおり続けてください。注射の種類に応じて、膝まわりへの施術まで間隔を空けています。ヒアルロン酸の注射は、当日は膝まわりへの鍼を避け、翌日以降にしています。ステロイドの注射は、2週間ほど空けてから膝まわりの施術を再開します。注射のあとの腫れや痛みと、施術による変化を分けて見るためです。腰や首肩など膝以外の部位への施術は、注射の時期に関わらず受けていただけます。

ご予約

ご来院当日の流れ、お着替え、お支払い方法については、「初めての方へ」のページで説明しています。

予約状況の確認とご予約は、予約ページから直接お取りいただけます。

このページは、変形性膝関節症に対する鍼灸について、当院の考え方をまとめたものです。個別の診断や治療方針の判断に代わるものではありません。検査や治療については、かかりつけの医師にご確認ください。

参考文献
  • Scharf HP, Mansmann U, Streitberger K, et al. Acupuncture and knee osteoarthritis: a three-armed randomized trial. Annals of Internal Medicine. 2006;145(1):12-20. DOI
  • Manheimer E, Cheng K, Linde K, et al. Acupuncture for peripheral joint osteoarthritis. Cochrane Database of Systematic Reviews. 2010;(1):CD001977. DOI
  • 日本整形外科学会 監修, 日本整形外科学会診療ガイドライン委員会・変形性膝関節症診療ガイドライン策定委員会 編. 変形性膝関節症診療ガイドライン2023. 南江堂; 2023.

この記事を書いた人

佐藤長快

佐藤長快

鍼灸師

吉祥寺メックス鍼灸院で鍼灸専門の施術を行っています。

18歳の頃に鍼灸を初めて受け、その効果を実感し、その後鍼灸の道へ。以来さまざまな流派・技法の施術を受け続け、これまでに100名以上の施術者の鍼を経験してきた鍼灸愛好家でもあります。

  • 国家資格:はり師・きゅう師(鍼灸師)
  • 東京医療専門学校 鍼灸専科 卒業
  • 上海中医薬大学 短期留学 推拿コース/解剖コース 修了
  • 公益社団法人 全日本鍼灸学会 正会員
  • 認定NPO法人 健康医療評価研究機構(iHope International)臨床研究オンライン学習プログラム 修了
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