四十肩・五十肩

このページの要点

症状の特徴
夜間の痛みと、腕が上がらない・後ろに回せない動きの制限が出ます。
当院の施術
関節の中には鍼を入れず、肩と肩甲骨のまわり、首から背中の筋肉に鍼と低周波の通電をします。
通い方の目安
痛みが強い時期は週1回です。5回続けて変化がなければ、鍼をする場所と刺激の設定を変えます。
推奨コース
背中側に集中して施術するため、スタンダードコースが基本です(料金は下に記載)。
研究の状況
四十肩・五十肩への鍼灸は、効果が確かめられた段階には至っていません。
先に受診を
発熱を伴う肩の腫れ、転倒後に急に動かせない、安静にしていても強まる痛みは医療機関へ。
目次

夜、肩が痛くて目が覚める

寝返りを打った拍子に肩が痛んで目が覚める。仰向けでも横向きでも、肩が当たる向きが決まっていて眠りが浅い。腕が肩より上に上がらず、シャツの袖に腕を通すのがつらい。髪を洗うとき、後ろのポケットに手を回すときに、途中で動きが止まる。

吉祥寺メックス鍼灸院には、四十肩・五十肩でこうした状態になった方が来院されています。整形外科で「肩関節周囲炎」と言われた方も、まだ受診していない方もいます。

四十肩・五十肩は、痛みが強い時期、肩が固まって動く範囲が狭くなる時期、動く範囲が戻ってくる時期と、経過のなかで状態が変わっていきます。今どの時期にいるかで、鍼灸で狙えることも変わります。

腕を上げる途中で引っかかるように痛むけれど、夜間の痛みや動く範囲の制限はそれほどない、という場合については、肩のインピンジメント症候群のページで説明しています。

肩の痛みで、先に医療機関を受診していただきたいとき

まだ整形外科を受診していない方には、鍼灸より先に、肩の状態を画像で確認していただくようお願いしています。腱の断裂や、腱に石灰がたまって起こる痛みは、四十肩・五十肩とよく似た出方をすることがあり、触っただけでは分けきれないことがあるためです。そこが分かってはじめて、鍼灸が対象にできる範囲を判断できます。

すでに診断を受けている方でも、次の状態が新しく出てきた場合は、鍼灸より先に整形外科での評価をお願いしています。

  • 肩が赤く腫れて熱をもち、発熱を伴う強い痛みが出た。
  • 転倒やひねったあとに、急に腕が上がらなくなった、力が入らなくなった。
  • 安静にしていても痛みが強まり続け、体重の減少など体調の変化を伴う。

首から腕にかけて広がる痛みやしびれが主な訴えである場合は、肩ではなく首の神経が関わっていることがあり、首の評価が先になります。

数週間のうちに痛みや動かしにくさが急に強まった場合も、再受診をお願いしています。

四十肩・五十肩で鍼灸に通う頻度と期間の目安

痛みが強く、夜も目が覚める時期は週1回を目安にします。夜間の痛みが軽くなり、腕を動かせる範囲が戻ってきたら、2〜3週に1回へ間隔を空けていきます。

区切りは、着替えや洗髪、後ろに手を回す動作が支障なくできる状態が続いていることです。そこまで戻れば、いったん終了になります。四十肩・五十肩をきっかけに首や肩のこりが残った方は、そのまま間隔を空けて続けられることもあります。

施術は毎回同じではありません。その日の動かせる範囲と触った感触で鍼をする部位を決め、刺激の強さも調整します。5回続けて変化が出てこない場合は、鍼をする場所と刺激の設定を変えます。それでも変化が見えてこない場合は、その先も変化が出にくい可能性があることを、その時点でお伝えします。続けるか、いったん様子を見るかは、そのうえでご相談して決めます。変化があるかどうかは、ご本人の感覚を基準に、施術の前に伺います。施術のあとだけ楽になって数日で戻る、という場合は、変化がある側に数えます。

糖尿病のある方は、変化の出方がゆるやかなことがあり、見通しを長めにお伝えしています。けがや手術のあとに肩が固まった方も、見通しが変わることがあります。

四十肩・五十肩に対する当院の鍼灸治療

最初に確認するのは、どの動きでどこが痛むかです。腕を前に上げる、横に開く、後ろに回す動きを実際にしていただき、動きが止まる位置と痛む場所を確かめます。あわせて、夜間の痛みがあるか、左右で動かせる範囲がどのくらい違うか、安静にしていても痛むのか動かしたときだけ痛むのかを伺います。この3つが、今どの時期にいるかを見るときの手がかりになります。

痛みが強い時期は、痛みをやわらげることを狙います。肩が固まっている時期は、動かせる範囲を広げることに狙いを移します。動く範囲が戻ってきた時期も、残っている動かしにくさに対して施術を続けられます。

鍼をするのは、大きく3か所です。1つは、肩の後ろから外側にかけての筋肉。腕を上げる動きに関わり、動かさない期間が続くと硬くなります。2つ目は、肩甲骨のまわりの筋肉。肩甲骨が動かないまま腕だけを上げようとすると、動く範囲がさらに狭くなりやすくなります。3つ目は、首から背中にかけての筋肉。動かない肩をかばう姿勢が続くと、ここが張ってくることがあります。

関節の中には鍼を入れません。硬く縮んだ関節の袋そのものに働きかける施術ではなく、肩を動かしている筋肉の緊張をゆるめる、という考え方です。

施術はうつ伏せを基本にします。肩の後ろから外側、肩甲骨のまわり、首から背中まで、この姿勢のまま届きます。肩の前側や鎖骨の下の張りが強い方には、仰向けの施術を加えます。

刺した鍼に低周波の電気を流す方法(鍼通電)を基本的に併用します。手では届かない深さの筋肉を直接動かせるためです。刺激に過敏な方には使いません。刺激の強さは、施術中に確認しながら調整します。

ほかに持病がある方、常用しているお薬がある方も受けていただけます。ほとんどの場合はそのままで問題ありませんが、刺激量の調整に関わることがあるため、問診でお知らせください。

四十肩・五十肩の鍼灸治療のコースと料金

四十肩・五十肩の施術は、肩の後ろから外側、肩甲骨のまわり、首から背中にかけての筋肉が中心になります。背中側に集中して施術するため、スタンダードコースが基本になります。

スタンダード片面施術・40分ほど

8,800円リピート割 7,700円

  • 初回は 9,900円(施術料 8,800円+初見料 1,100円)初見料は初めてのご来院時のみ
  • リピート割は前回の施術日から1か月以内(翌月の同じ日まで)のご来院に適用されます

初回は問診と動きの確認がありますが、所要時間は同じく40分ほどです。

肩の前側や鎖骨の下の張りが強い方、腕を上げると胸の前がつっぱる方は、体の前側(仰向け)にも施術を加えるため、ダブルコースをご提案することがあります。すでにダブルコースで通われている方は、肩をあわせて診ても料金は変わりません。コースの目安は、いくつかの質問に答えるコース診断ツールでも確かめられます。

使用する鍼・手技・鍼に電気を流す方法については、コース詳細ページで写真つきでご覧いただけます。

当院は保険取扱いのない、自費の鍼灸院です。

なぜ肩が上がらなくなるのか

四十肩・五十肩は通称です。整形外科では「肩関節周囲炎」という病名がつくことが多く、学術的には「凍結肩」と呼ばれます。ただし「肩関節周囲炎」は、肩のまわりの痛みを広くまとめて指すこともある病名です。この病名がついていても、腱の問題が含まれている場合があります。

肩の関節は、骨と骨の間を袋(関節包)が包んでいます。この袋にまず炎症が起き、続いて袋が硬く縮んでいくことで、動かせる範囲が狭くなっていくと考えられています。ただし、なぜこの炎症が始まるのかは、まだ分かっていません。加齢や血のめぐりで説明されることがありますが、原因として確かめられたものではありません。

腱がこすれたり傷んだりして起こる肩の痛みとは、痛む場所が似ていても、傷んでいる組織が違います。腱の問題では腕を上げる途中の引っかかりが中心になり、四十肩・五十肩では動かせる範囲そのものが狭くなり、夜間の痛みが出やすくなります。

糖尿病のある方に多いことが分かっており、甲状腺の病気や脂質異常症との関連も報告されています。

経過は、痛みが強い時期から、固まる時期、動く範囲が戻る時期へと進みます。数か月で落ち着く方もいれば、年単位に及ぶ方もいます。動く範囲が完全には戻らないまま残る例も報告されており、必ず元どおりになるとは言えません。

動かない肩をかばう姿勢が続くと、首や背中の筋肉が張ってくることがあります。四十肩・五十肩の方が「首肩もこる」と言われるのは、この負担のかかり方と関係していることがあります。当院が施術の対象にしているのは、この、肩の動きを制限している筋肉の緊張です。

四十肩・五十肩の鍼灸治療に期待できること

改善が期待できる症状

当院が対象にしている中心は、肩を動かしている筋肉の緊張から来ている痛みの軽減と、動かしやすさの改善です。痛みが強い時期は、夜間の痛みを含めた痛みの軽減を狙います。肩が固まっている時期は、動かせる範囲の改善が中心になります。動く範囲が戻ってきた時期も、残っている動かしにくさに対して施術を続けられます。動かない肩をかばうことで出ている首や背中の張りも、あわせて対象になります。

鍼をするのは、肩を動かしている筋肉です。硬く縮んだ関節の袋そのものをゆるめる施術ではありません。経過が終わるまでの期間を短くする、という約束もできません。注射や関節を広げる処置、手術が必要かどうかの判断は、肩の状態と生活への支障をもとに整形外科が行う、主治医の領域です。

糖尿病のある方では、筋肉の緊張をゆるめても痛みや動く範囲の変化が小さいことがあります。けがや手術のあとに肩が固まった方も、見通しが変わることがあります。その場合は、5回を目安に見込みをお伝えします。

効果の出方には個人差があります。施術後は一時的にだるさが出ることがあり、通常は数時間から1日ほどでおさまります。

研究で報告されていること

四十肩・五十肩に対する鍼灸は、研究の上では、鍼灸そのものの効果として確かめられた段階に至っていません。理学療法や運動などと比べた試験をまとめた報告では、痛みと動かしやすさの改善が示されていますが、研究の確実性は非常に低いと評価されています。本物の鍼と、刺さらない偽の鍼を比べた試験では、痛み、動かせる範囲、睡眠のいずれにも両群の差は示されませんでした(参加者30名の小さな試験です)。肩の痛み全般を対象にまとめた報告でも、結論を出すには研究が足りない、とされています。当院が、関節の中には鍼を入れず、肩を動かしている筋肉の緊張をゆるめて痛みと動かしやすさに働きかけることを目的にしているのは、この状況をふまえた方針です。

四十肩・五十肩の鍼灸についてよくある質問

どのくらいで良くなりますか?

四十肩・五十肩は、経過そのものが数か月から年単位に及ぶことがあり、何回で終わるとお伝えできる症状ではありません。当院がお伝えしているのは、痛みが強い時期は週1回を目安にすること、5回続けて変化が出なければ鍼をする場所と刺激の設定を変えること、動かせる範囲が戻れば間隔を空けていくことの3つです。変化の出方には個人差があり、糖尿病のある方ではゆるやかになることがあります。けがや手術のあとに固まった方も、見通しが変わることがあります。

時間がたてば自然に良くなると言われましたが、通う意味はありますか?

自然な経過のなかで痛みが軽くなっていく方は多くいます。一方で、動かせる範囲が完全には戻らないまま残る例も報告されています。当院が対象にしているのは、その経過のあいだの痛みの軽減と、動かしやすさの改善です。夜眠れない、着替えや洗髪に支障が出ている、という状態が続いている場合に受けていただくことが多くなります。

整形外科の注射やリハビリと一緒に受けられますか?

受けられます。予約時または問診で、受けた注射の種類と直近の日付をお知らせください。炎症を抑える注射のあとは、その部位への鍼を2週間ほど空けます。ヒアルロン酸の注射は、当日は肩まわりへの鍼を避け、翌日以降にしています。注射のあとの腫れや痛みと、施術による変化を分けて見るためです。関節を広げる処置や、麻酔をかけて動かす処置を受けたあとは、主治医の指示が優先されます。首や背中など肩以外の部位への施術は、注射の時期に関わらず受けていただけます。リハビリで指導されている運動は、そのまま続けてください。

痛みが強い時期でも動かしたほうがいいですか?

どこまで動かしてよいかは、肩の状態によって変わります。当院では、痛みが強い時期は痛みをやわらげることを優先し、無理に動かして範囲を広げる施術はしません。動かせる範囲が戻ってきた時期には、動かしながらの施術に切り替えていきます。整形外科で運動の指示を受けている方は、その指示に沿って進めますので、問診でお知らせください。

ご予約

ご来院当日の流れ、お着替え、お支払い方法については、「初めての方へ」のページで説明しています。

予約状況の確認とご予約は、予約ページから直接お取りいただけます。

このページは、四十肩・五十肩に対する鍼灸について、当院の考え方をまとめたものです。個別の診断や治療方針の判断に代わるものではありません。検査や治療については、かかりつけの医師にご確認ください。

参考文献
  • Kim JE, Kim SP, Kim AR, et al. Acupuncture Treatment of Adhesive Capsulitis of the Shoulder: A Randomized Controlled Pilot Trial. Journal of Acupuncture Research. 2018;35(3):120-128. DOI
  • Ben-Arie E, Kao PY, Lee YC, et al. The Effectiveness of Acupuncture in the Treatment of Frozen Shoulder: A Systematic Review and Meta-Analysis. Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine. 2020;2020:9790470. DOI
  • Green S, Buchbinder R, Hetrick SE. Acupuncture for shoulder pain. Cochrane Database of Systematic Reviews. 2005, Issue 2. CD005319. DOI

この記事を書いた人

佐藤長快

佐藤長快

鍼灸師

吉祥寺メックス鍼灸院で鍼灸専門の施術を行っています。

18歳の頃に鍼灸を初めて受け、その効果を実感し、その後鍼灸の道へ。以来さまざまな流派・技法の施術を受け続け、これまでに100名以上の施術者の鍼を経験してきた鍼灸愛好家でもあります。

  • 国家資格:はり師・きゅう師(鍼灸師)
  • 東京医療専門学校 鍼灸専科 卒業
  • 上海中医薬大学 短期留学 推拿コース/解剖コース 修了
  • 公益社団法人 全日本鍼灸学会 正会員
  • 認定NPO法人 健康医療評価研究機構(iHope International)臨床研究オンライン学習プログラム 修了
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